WCRP日本委「新春学習会」 『WCRPのこれから』をテーマに方向性探る

パネルディスカッションでは、諸宗教組織の意義や各界との協働の重要性が示された

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の「新春学習会」が1月28日、立正佼成会の法輪閣(東京・杉並区)を拠点にオンラインで行われた。テーマは『WCRPのこれから~ACRP大会とWCRP創設50周年をうけて~』。同日本委に関わる各教団の宗教者や賛助会員など約200人が参加した。

今年の新春学習会は、昨年10月に行われたアジア宗教者平和会議(ACRP)の第9回「ACRP東京大会」と、翌月に開催された同日本委員会の「WCRP創設50周年記念式典・シンポジウム」で示された成果や課題を振り返り、今後の活動につなげることが目的。ACRP東京大会では、アフガニスタンやミャンマーでの政治の混乱に伴う人道危機、新型コロナウイルス感染症の影響、人身取引や人権侵害、環境破壊などの実態と、諸宗教協力を通じた支援や取り組みについて意見が交わされた。また、ACRPは「行動志向型」の組織を継続し、あらゆる生命(いのち)の尊厳に関する意識向上、平和構築と和解、青年リーダー育成など五つの事業に各国の宗教者と連携して取り組んでいくことが確認された。

一方、WCRP創設50周年記念式典・シンポジウムでは、不可能とされた諸宗教対話・協力を実現し、世界平和に尽くした先達の意志を引き継ぐ決意を表明。同日本委の今後10年の活動とビジョンを定めた「WCRP日本委員会(WJ)アジェンダ2030」を発表し、諸宗教ネットワークや草の根のコミュニティ活動の強化、気候危機や経済格差への対応、非武装への取り組みなど六つの重点行動を発表した。

当日の学習会では、同日本委の庭野日鑛会長(立正佼成会会長)が開会挨拶。ACRP東京大会、WCRP創設50周年の取り組みは、同日本委にとって貴重な提言、学びを得る機会であったとし、今後の宗教協力の意義を高めることができたと表明した。新春学習会を通して、さらに宗教者の役割を確認し、「WCRPの活動がより一層充実したものになるように、決意を新たにしたい」と述べた。

庭野会長が開会の挨拶。学習会を通して宗教者の役割を確認し、さらなる活動の充実に期待を込めた

続いて、ACRP東京大会の受入委員長を務めた黒住教の黒住宗道教主や、同創設50周年記念式典の実行委員長を務めた北法相宗音羽山清水寺成就院の大西英玄住職、カトリック東京大司教区アレルヤ会の森脇友紀子会長が成果や課題を報告。この中で、オンラインでも各国の宗教者と実りの多い協議ができたこと、青年や女性の参画が増えている状況などが成果として挙がった。課題としては、平和実現のために活動の社会的認知度を高め、専門家や各界との連携を強める必要性が示された。

この後、当日のテーマを基に、天理大学学長の永尾教昭氏、元アジア開発銀行太平洋局社会開発行政部門部長の松本いく子氏、世界仏教徒青年連盟会長の村山博雅師(曹洞宗幽谷山洞雲寺住職)、仏教タイムス編集長の工藤信人氏によるパネルディスカッションが行われた。真生会の田中庸仁会長が進行役を務めた。

この中で永尾氏は、医療技術が著しく発達し、以前は不治の病とされた多くの病気も治せるようになってきたのに対し、心の病が増えてきていると指摘。宗教には人々の心に寄り添い、解決の道を示していく役割があり、諸宗教が互いを尊重し、手を携えて人々の救済に尽くしていくことがWCRPには求められていると語った。

松本氏は国際機関と諸宗教組織との相違について言及。国際機関では、政策決定に各国の経済力や国力が影響し、人権や環境問題に取り組む際も国益が優先されてしまう場合があると指摘した。一方、諸宗教による協働は、国の利害などあらゆる垣根を越えてつながることができ、世界の問題を解決する重要な役割を担えると期待を寄せた。

村山師は、「持続可能な開発目標」(SDGs)と宗教をテーマにしたオンライン国際交流イベントの開催を紹介し、各分野の専門家と連携し、諸宗教者が一致団結することが平和の実現につながると強調。まずは宗教者が全ての事象を自分事と受けとめ、情報や智慧(ちえ)を分かち合っていくことが重要と語った。

工藤氏は、青年世代の参加や発言に注目していると述べ、「WJアジェンダ2030」が青年を中心に策定されたことを評価した。また、同日本委が各国の利害が異なる問題の解決に向け、仲介していくことを提案。特に核兵器廃絶に向けては、核兵器保有国の宗教者、専門家との連携に期待をかけた。

最後に、同日本委の植松誠理事長(日本聖公会主教)が閉会の挨拶を述べた。