感謝を胸に「成道会」 大乗菩薩道を歩む決意を新たに (動画あり)

法輪閣ロビー壁面綴織(複写、原画は庭野日敬開祖筆の「初轉法輪図」「樹下成道図」)が掲げられた。法話の中で庭野会長は、「心田を耕す」ことの目的や成道会の意義を説いた

釈尊が悟りを開いた意義をかみしめ、報恩感謝の心でさらなる布教伝道を誓う「成道会」が12月8日、立正佼成会の大聖堂(東京・杉並区)で挙行された。式典の映像は、インターネットの動画共有サイトを通して会員にライブ配信された。法話に立った庭野日鑛会長は、一生をかけて「心田を耕す」という仏教徒の姿勢を説示し、成道会を通して、「大乗菩薩道」を歩む決意を新たにする大切さを述べた。

式典では冒頭、映像作品を配信し、釈尊が菩提樹の下で成道に至り、布教に歩き始める様子を紹介。続いて、読経供養が行われ、導師をつとめた庭野光祥次代会長が庭野会長の「啓白文」を奏上した。

この後、中央学術研究所の橋本雅史所長が体験説法に立った。橋本所長は、中学3年生の時に父親が41歳で他界し、母親と二人で経済的に厳しい生活を送った当時を詳述。なぜ父親は若くして他界したのか――その答えを求めて布教活動に参加して信仰を深めるとともに、その疑問を相談した支部長からの言葉をきっかけに、体の弱い母親が必死に家庭を支えてくれていたと気づき、感謝の思いを伝えて親孝行に努めた体験を披歴した。

式典の様子(クリックして動画再生)

また、今年10月、『困窮者と伴に歩む宗教の可能性』をテーマに同研究所が開催した「第12回善知識研究会」に言及。生活困窮者を支援する宗教者たちが、一人ひとりの苦しみを受けとめて共に涙を流して生きる希望を見いだそうとしている姿に感動し、それに倣い、「私も苦しむ人々に寄り添って苦悩を分かち合い、一緒に救いの道を求めていきたい」と誓願した。

法話に立った庭野会長は、今年11月15日で法燈継承30年を迎えたことに触れ、釈尊に倣って自身も「心田を耕す」という信仰の目的を大事にしてきたと述懐した。「心田」とは、田んぼに稲を植えるように、仏の種を植えるべき場が心であるとして生まれた言葉と説明。「心田を耕す」には、仏種を蒔(ま)いて自分たちの心を成長させて、それが、教えを人に伝えていくことにつながっていくという意味が込められていると示した。

また、人体は宇宙に存在する元素でできているが、人間は単なる物質ではなく、心を持ち、自ら考え、行動し、人と気持ちを分かち合って助け合いながら生きている「不思議な存在」と教示した。

一方、人間は「考える」ことで知識を得て、文明を繁栄させてきたが、気候変動など地球環境を破壊するような問題を生んでいると指摘。「妙法といわれる釈尊の教えによって、地球を救い、多くの人の悩み苦しみを救っていく、そういう大乗菩薩道を歩む決意を新たにするのが成道会です。私たち自身も、地球も救われるような働きをお互いさまにさせて頂くことが大切です」と述べ、精進を促した。

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