世界の諸問題に諸宗教対話・協力で挑戦  バイデン大統領とバルトロメオ一世(海外通信・バチカン支局)

バイデン大統領とバルトロメオ一世は、懇談の中で世界の諸問題に対して諸宗教対話によって対応していくよう議論を深めた(Orthodox Times紙提供)

世界の諸問題に諸宗教対話・協力で挑戦  バイデン大統領とバルトロメオ一世

正教会(キリスト教)のコンスタンチノープル(現トルコ・イスタンブール)エキュメニカル総主教であるバルトロメオ一世が10月25日、米国のホワイトハウスと国務省を訪問し、バイデン大統領、ブリンケン国務長官と懇談した。

バイデン大統領との懇談は約1時間にわたり、正教使節団と大統領欧州担当補佐官らが同席した。ホワイトハウスの公式声明文によると、懇談でバイデン大統領は、バルトロメオ一世の総主教選出30年の祝意を伝え、「エキュメニカル総主教としての30年間にわたる道徳的、霊的指導」に賛辞を表明した。その後、両指導者は、「気候変動への対応、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)収束に向けた取り組み、基本的人権としての信教の自由の重要性」について意見を交わした。さらに懇談は、一連の世界的な課題に対して、「諸宗教の共同体が決定的な役割を果たすという確信に沿って進められた」という。声明文では、「バイデン大統領と総主教との間における数十年にわたる友愛、協調関係」も伝えられた。

この懇談について、「オーソドックス・タイムス(Orthodox Times)」の26日付電子版は、両指導者は「気候変動に対する緊急行動」について合意し、総主教が「直前に迫ったグラスゴーでのCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)が、政治指導者たちにとっての絶好の機会となる」と強調して、「大統領の環境問題に対する責任感と解決へ向けての指導力を評価した」と伝えている。総主教は、「大統領のパンデミックに対する確固とした対応と、開発途上国の国民に対するワクチンの提供に関する方針に謝意を表明した」という。

また、総主教は、世界平和と、地球の環境についての正義に関わる問題について話し合ったと明かし、大統領に対して、世界の安定のために諸宗教が果たす役割を強調しながら、「キリスト教の一致と、諸宗教の相互理解と協調を促進する唯一の手段は対話である」「現在、そして未来の挑戦をなす最も効果的な手段が対話である」と伝えた。さらに、世界レベルでの相互尊重、平和共存を実現するためには、諸宗教指導者間における協力が重要であること、カトリック教会や他のキリスト教諸教会と共に展開していく諸宗教対話の重要性についても訴えたとのことだ。

同日午後、国務省を訪問した総主教は、ブリンケン国務長官と懇談。「中東とアフリカ大陸北岸におけるキリスト教徒の困難な状況」「気候変動に対する速やかな政治的対応の必要性」「エキュメニカル総主教府の諸宗教対話の促進に関するビジョンと取り組み」などが話題に上った。

また、「米国と世界の正教会に関わる諸問題」についても話し合われた。特に、ウクライナ正教会のロシア正教会からの独立の承認を巡って、モスクワ総主教区とエキュメニカル総主教区との間で鋭く対立したことについて意見が交わされた。この問題は、バイデン大統領との懇談でも議論された。

オーソドックス・タイムスは27日、「米国大統領は全世界の指導者でなければ、コンスタンチノープル大主教(エキュメニカル総主教)は全正教会の指導者ではない。両指導者間での協力は、正教間での分裂と信徒の迫害をもたらすのみ」と発したモスクワ総主教区のヒラリオン外務部長(大主教)の非難を伝えた。

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