世界で頻発するテロ 教皇が暴力の放棄を訴え(海外通信・バチカン支局)

世界各地でイスラーム過激派組織によるテロ攻撃が頻発している。ノルウェー・オスロ近郊の町で10月13日、デンマーク国籍の男性が弓矢を使って市民を襲い、5人が死亡した。警察当局は、「テロ攻撃」として捜査を進めている。

アフガニスタン南部カンダハルでは15日、イスラーム・シーア派のモスク(礼拝所)で自爆テロが発生し、40人以上が死亡、70人が負傷した。「イスラーム国」(IS)を名乗る過激派組織が、犯行声明を公表した。同日は、ムスリム(イスラーム教徒)にとって重要な集団礼拝の日となる金曜日だった。

さらに、英国東部エセックス州のキリスト教会で同日、有権者たちと懇談していた同国与党保守派の下院議員が、英国人男性に刺殺された。同州警察は、イスラーム過激主義に関連するテロ事件として捜査を続けている。

ローマ教皇フランシスコは17日、日曜日恒例であるバチカン広場での正午の祈りの席上、「先週にノルウェー、アフガニスタン、英国で発生した(テロ)攻撃によって、多数の死者と負傷者が出た」と言及。「犠牲となった人々の家族に対する連帯」を表明しながら、「暴力の道を放棄するように」と願った。さらに、「暴力の道は常に皆の敗北の道」と示し、「暴力は(新たな)暴力を生むのみ」と訴えた。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)