第9回「ACRP東京大会」開幕 大会に先立ち青年・女性の事前大会がオンライン開催

青年宗教者たちは紛争や差別などに苦しむ世界の人々に思いを馳せ、共に平和への祈りを捧げた

青年・女性事前大会

17日、『ありがとうから行動へ』をテーマに行われた青年事前大会には、アジア各国の青年宗教者が参加。冒頭、WCRP/RfP日本委員会青年部会の幹事11人が登壇し、世界から寄せられた東日本大震災の復興支援に対して謝意を表した。

元南三陸消防署副署長の佐藤氏が基調講演。アジアの青年に東日本大震災の体験を伝えた

続いて、同震災の語り部として活動する元南三陸消防署副署長の佐藤誠悦氏が基調講演。当時、宮城・気仙沼消防署の指揮隊長として、津波を原因とする火災の消火活動、被災者の救援活動などに奔走した体験を詳述した。

また、消防官でありながら、最愛の妻を助けることができなかったことへの自責の念を吐露。再び犠牲者を出さないために語り部を続けるとともに、各人が自らの命を守り、避難時に周囲の人を思いやって行動する「防災力」を備えた人材の育成に努めていると述べた。

この後、『友への祈り、平和への願い』『ありがとうメッセージ』『分かち合い』と題した会合が行われた。『友への祈り、平和への願い』の会合では、インドと韓国の青年が自国で深刻化する対立や差別の現状を報告。参加者と共に、宗教者が協力して和解と問題解決に努める重要性を確認し合った。

18日の女性事前大会は、『女性のエンパワーメント:誰一人取り残さない、健やかで豊かなアジアの平和をめざして』がテーマに掲げられた。

女性事前大会であいさつする森脇部会長。それぞれの人生が輝いていけるよう充実した学びをと期待を寄せた

アジア太平洋女性信仰者ネットワーク(APWoFN)議長を務めるリリアン・シソンWCRP/RfPフィリピン委員会事務総長と、同ネットワーク事務局長の森脇友紀子WCRP/RfP日本委員会女性部会部会長が開会のあいさつを述べた。

続いて、国連人口基金(UNFPA)駐日事務所の佐藤摩利子所長が『みんなの権利。みんなの選択。からだの自己決定権を求めて』と題して基調講演を行った。佐藤氏は、世界では現在も多くの女性が自身の身体の決定権を持っていないと指摘。胎児が女性と分かると中絶される、女性器が切除されるといった有害な慣習や、児童婚に代表される差別を挙げ、即刻やめるべきと訴えた。公平な社会をつくっていくには、「身体は自分のもの」という基本的な権利を保障することが女性のエンパワーメントの根源となると語り、「身体的自立」の重要性を強調した。

この後、4テーマに分かれてワークショップを実施。『平和と人間の尊厳の尊重のための女性と少女の教育』では、貧困、親やコミュニティの無理解、宗教の誤った解釈などが原因で少女の教育が進まない状況について意見が交わされた。