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北朝鮮への厳しい経済制裁は逆効果――WCCがバイデン米大統領に書簡

世界教会協議会(WCC)は9月1日、バイデン米大統領に対し、北朝鮮への厳しい経済制裁の見直しを訴える公開書簡を送付した。

この中で、米国の厳しい経済制裁を科す意図は理解できるものの、それによって緊張を高め、対話による解決を阻害していると指摘。これまでにない厳しい制裁が長期間にわたって続いており、実際、解決策を見いだすことに「失敗している」とし、「建設的な努力に向けた新しい可能性への道を開拓してゆくために、もっと柔軟性のある政策が必要とされる」と訴えている。

さらに、人道支援活動は止まっており、同国で起きている慢性的な食料不足、医療危機に加え、今夏に発生した豪雨災害によって、国民は苦しい生活を強いられており、「苦の代価」を払わされていると主張。WCCによる救援組織の環境が整うのであれば、「すぐに人道支援活動を展開していく用意がある」とし、そのためには、現行の経済制裁の緩和や見直しが必要であると述べている。

WCCのイオアン・サウカ暫定総幹事は声明文の中で、「現行の経済制裁と(米国民に対する北朝鮮への)渡航禁止令は、(朝鮮半島における)和平の実現と、壊滅的な影響をもたらしかねない紛争状況の解決にとって逆効果」と強調。WCCは「人と人との出会いが、平和構築の本質である」と確信しており、それを妨げる政策は対立と分裂を生むだけだと懸念を示した上で、バイデン政権による北朝鮮政策の見直しと、両国間の対話の再開を望むメッセージを表明している。

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