「六花の会」会員総会 作家・守屋淳氏が講演

オンラインで行われた会員総会。参加者はコロナ禍の中での活動のあり方にについて意見を交わした

「六花(りっか)の会」の会員総会が9月4日、オンラインで開催され、約120人が参加した。同会は、仏教精神を生かした経営を目指す経営者や個人事業主の立正佼成会会員有志によるネットワーク。当日は第一部で、「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一の講演録『論語と算盤』の現代語訳を手掛けた作家の守屋淳氏が、『今、渋沢栄一に学ぶ』をテーマに講演した。

この中で守屋氏は、渋沢が大蔵省(当時)の官僚から実業家に転身した明治初期の世界の情勢に触れ、日本は欧米列強の植民地政策に対抗するため、近代化を推し進める必要があったと解説。社会全体に富を行き渡らせることが国の発展につながると考えた渋沢は、「儲(もう)けたい」という人々の欲求が近代化の推進力になるととらえ、その考えを基に500の企業、600の社会事業に関わったと述べた。

講演した作家の守屋氏(「Zoom」の画面)

一方、『論語と算盤』には、社会の豊かさや人々の幸せといった「公益」を忘れることなく、それを追求する手段として経済活動を行うという渋沢の理想が収められていると説明。拝金主義の蔓延(まんえん)や商業モラルの低下によって、社会的弱者を切り捨てる風潮が広がる状況を憂慮し、「論語」(道徳=公益)と「算盤」(ビジネス=私欲)という対極的な価値観を調和させる経済活動の大切さが記されていると語った。

その上で、守屋氏は、渋沢が「公益のための経済活動」という理想を、生涯にわたって追求した点を改めて強調。時代が変わっても、経営者には高い志を持ってビジネスを展開していくことが求められると話した。

第二部の総会では、大畑昌義同会共同推進責任者=荒川教会渉外部長=が司会を務め、年次報告や来年の計画などについて意見を交わした。最後に、同会顧問の國富敬二理事長があいさつ。コロナ禍の厳しい状況の中、仏教経営者塾などで「学びを深め、互いに高め合っていきたい」と語った。