北九州支教区「六花の会」青年プログラム 起業を志す青年部員らを対象に

参加者は研修で仏教精神を生かした経営について学び、社会に貢献できる会社の起業を目指す(「Zoom」の画面)

立正佼成会北九州支教区では今年6月から、起業を志す青年部員らを対象に「『六花(りっか)の会』青年プログラム」(全6回)がオンラインで実施されている。第1回のオリエンテーションに続き、8月1日には第2回が行われ、青年部員5人が研修を受講した。

「六花の会」は仏教精神を生かした経営を目指す企業経営者や個人事業主の本会会員(有志)による全国的なネットワークで、この青年プログラムは同支教区からの要請を受けて開催されている。各回の研修では、同会メンバーの経営者、NPO法人の代表などが講師を担当。青年部員たちは、「利他」の精神に基づく経営の大切さ、ビジネスを通じた社会貢献の取り組みなどを学ぶ。

1日の研修では、社会のニーズや社会課題の解決に起点を置いてビジネスを創出する大切さを学習。マーケティングや商品開発を行う企業を経営する大久保惠司氏が講師を務めた。

この中で大久保氏は、国際エネルギー機関(IEA)の報告書や大手広告代理店の購買行動調査のデータを示しながら、地球温暖化による気象変動の危機などを受けて、世界では「持続可能な社会」への関心が高まっており、企業も長期のビジネス戦略として社会課題への取り組みを重視する傾向にあると指摘。一例として、小売りやクレジットカード事業を展開する大手企業が脱炭素社会への潮流を踏まえ、自社の商業施設で再生可能エネルギーを積極的に利用するほか、同エネルギーを家庭用電力に導入するサポート事業を手がけ始めたと説明した。公共の利益に寄与する事業は、企業の存在価値を高めると語った。

この後、質疑応答の時間が設けられた。現在、老人福祉施設で働き、介護業界での起業を考えている福岡教会の男性会員(40)が、業界で問題となっている従業員の離職を減らしていく方策を質問した。大久保氏は、経営者と従業員が「施設の利用者のために」といった事業の理念を常に確認し、同じ目標に向かって仕事をすることが最も大事とアドバイス。さらに、従業員の資格取得や業務成果などを適正に評価して給与に反映し、従業員が自らの成長を喜びと感じられる職場環境をつくることが企業の成長にもつながると語った。

研修を終えて、設計士で、船舶設計会社勤務20年になる長崎教会の男性会員(38)は「20代の頃から、独立を考えるようになりました。佼成会の教えや仏教精神を生かした経営について関心があり、参加しました。私の地元は、若者の県外就職が少なくなく、起業後に若者を雇用することができれば、地元に残る人を増やせます。少しでも故郷の活性化に貢献できたら」と自らのビジョンを語った。