庭野平和財団オンライン連続セミナーが終了 コロナ禍で支援を必要とする人たちに目を向けて

最終回では、連続セミナーの進行役を務めたIIHOE「人と組織と地球のための国際研究所」の川北秀人代表が、前回までの内容を振り返り、新型コロナウイルスの影響が続く社会の中で、困窮する人々に対する各団体の支援活動を総括。失業や減収によって困窮し、住まいを失う危機に直面するひとり親家庭が増えている現状に触れ、就職支援と居住支援をセットにした長期的な支援体制をつくる重要性を強調した。また、困窮者へのサポートを行う支援団体に対し、助成機関では、他団体と共同して資金を助成する、あるいは地域社会と協力して基金を立ち上げるなどの新たな試みを始めていると報告した。

IIHOEの川北氏

一方、コロナ禍の中で、多くの人々が困窮している原因を考えるには、日本の変化を捉える必要があるとし、過去25年間の人口動態統計やGDP(国内総生産)、各世帯の貯蓄の推移などを示しながら、人々の生活実態の変化について解説した。近年は、少子高齢化による労働人口の減少の中で、有効求人倍率は高水準を保ち、GDPも一定の伸びを示しているものの、労働者の賃金は上がっておらず、働いても生活が苦しい人々が多いのは、この点に原因があると強調。社会を維持していくために、分配のあり方を考えていくことが必要と語った。

また、元々生活が苦しい人々がコロナ禍の影響により一層厳しい状態に追い込まれていると指摘。所得世帯などを対象に、無利子の緊急小口資金等の特例貸付が実施され、申請件数は例年の100倍にも上っているが、返済は容易ではなく、公的支援のあり方も市民として注視していかなければならないと訴えた。