福島の海で諸宗教者が追悼の誠を捧げ 第10回東日本大震災物故者慰霊洋上供養会

参列した宗教者は犠牲者を供養する紙塔婆を海に流した。写真は庭野貴市原町教会長

7月11日、福島・いわき市江名の海上で「第10回東日本大震災物故者慰霊洋上供養会~復興への祈り~」が営まれた。

洋上供養会は、2011年に発生した東日本大震災の翌年に、天台宗会津薬師寺の筒井叡観住職が「津波で亡くなった人々を追悼するため、海上で供養を」と呼びかけ、立正佼成会を含む諸宗教者が賛同して始まった。以降、毎年、キリスト教や仏教の宗教者が慰霊の誠を捧げ、復興を祈願している。

今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、昨年と同様に参加者を限定し、規模を縮小して催された。本会から新井利昌東北支教区長と原町、平、磐城各教会の教会長が参加した。

当日は江名港を出港し、海上で筒井住職と新井支教区長を導師にそれぞれの読経供養が行われた。この後、宗教者が船上から水溶性の紙塔婆1100枚を海に流し、犠牲者の冥福を祈った。

新井支教区長と筒井住職は船の先頭で、経文を唱え、犠牲者の冥福を祈った

港に戻った筒井住職は震災からの10年を振り返り、「海上で供養させて頂きたいとの追悼の思いは今も変わりません。想像もしなかった津波に襲われて、亡くなられた方は、さぞ悔しかったと思います。私たちは宗教者だからこそ、その方々の思いを忘れることなく、祈りを捧げ続けなければならないのです」と心境を語った。

洋上供養賛同者会の事務局長を務める澤邉雅一磐城教会長は、「震災から10年が経ち、節目との声も聞かれますが、大切な人を亡くした人たちの悲しみは消えることはないでしょう。これからも犠牲となった方々の冥福を祈るとともに、悲しみを抱える人々に寄り添い、復興を祈念していきます」と話した。