本会一食平和基金が支援金を拠出 ミャンマーで迫害受けバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民を救援

バングラデシュ・コックスバザールの二つの医療施設と政府運営の病院に新型コロナウイルス対応のICUを設立。ロヒンギャ難民と住民に緊急医療サービスを提供する ©UNHCR/Kamrul Hasan

立正佼成会一食(いちじき)平和基金はこのほど、ミャンマーで迫害を受けバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民を救援するため、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通して500万円の支援を決定した。同基金では毎年、緊急性の高い国連の難民支援に対し、「一食を捧げる運動」による会員からの浄財を拠出している。2012年から17年まではシリア難民への支援、18年からは「ロヒンギャ難民緊急支援事業」を実施している。

人口の7割をビルマ民族が占めるミャンマーでは、長年にわたり少数民族との間で対立が生じてきた。特に、仏教国である同国で、ムスリム(イスラーム教徒)のロヒンギャは「違法な移民」として国籍を剝奪され、移動や結婚を制限されるなどの差別、迫害を受けてきた。2017年には、同国西部ラカイン州で国軍が掃討作戦を実施し、多くのロヒンギャが難民として隣国のバングラデシュに逃れた。昨年末時点で、その数は86万人に上る。

UNHCRは1990年から、バングラデシュにある2カ所の難民キャンプで支援活動を実施。同国政府や現地のパートナー団体と協力し、シェルターや生活物資の提供、水や食料の供給などを行ってきた。

現在は、避難生活の長期化で自立に向けた教育や職業訓練などの生活支援が必要になっている。また、難民キャンプ内の急激な人口増加で衛生状態が悪化。昨年からの新型コロナウイルス感染拡大も重なり、医療面での支援も急務となっている。

加えて、難民キャンプのあるコックスバザール地域では、住民自身も貧困や自然災害の被害を受けて生活が困窮している。こうした状況を受け、UNHCRでは、ロヒンギャ難民と、難民を受け入れている地域住民合わせて130万人を対象に、衛生的な環境の確保や医療設備の提供といった人道復興支援を展開。500万円の支援金はこれらの活動に役立てられる。