WCRP日本委 オンラインで人身取引に関するスタディーツアー開催 (動画あり)

日越ともいき支援会の吉水氏は、ベトナム人の技能実習生の置かれた過酷な実情を詳述した

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の人身取引防止タスクフォースによる「人身取引防止スタディーツアー~日本編~」が5月23日、オンラインで開催され、約170人が参加した。

同ツアーは、外国人技能実習生に対して強制労働、人権侵害などが起きている現状を知り、「人身取引」防止についての啓発を図るもの。

当日は、宍野史生・同タスクフォース責任者(神道扶桑教管長)の開会挨拶に続き、外国人技能実習制度の概要と問題点が映像で紹介された。

オンライン学習会の様子(クリックして動画再生)

この後、ベトナムからの技能実習生を支援するNPO法人「日越ともいき支援会」(東京・港区)の施設から映像をツアー参加者にライブ配信し、「現地訪問」が行われた。この中で、“ベトナム人の駆け込み寺”として知られる浄土宗寺院「日新窟」の寺務長でもある同会の吉水慈豊代表理事が、ベトナム人の技能実習生に起きている問題を説明。安全・安心という日本のイメージに夢や希望を抱いて来日したものの、受け入れ先の企業での誹謗(ひぼう)中傷や暴力被害、低賃金や残業費の出ない長時間勤務による労働搾取に遭うなど、身の危険を感じて逃げ出す人が多い実情を報告した。

また、その中には、失踪後に悪質な仲介業者によって不法労働に従事させられ、劣悪な労働環境の下、事故や病気で命を落とすケースが少なくないと指摘。こうした実習生に起きている現状は、「人身取引」にあたるのではないかと述べた。

さらに、同会では、亡くなった実習生の葬儀や追善供養を行うほか、劣悪な環境に置かれているベトナム人の一時保護や再就職支援に取り組んでいることを紹介。また、外国人技能実習生の窮状をメディアやSNSで発信して啓発活動に努めていると語り、協力を呼びかけた。

ツアーではこのほか、同会から支援を受ける実習生のインタビュー映像が配信された。建築関係の実習先で仕事をしていた2人のベトナム人男性は、職場の日本人から暴言を吐かれ、暴力を受けた体験を吐露。実習生の受け入れにあたる監理団体に窮状を訴えたが応じてもらえず、やむなく会社を逃げ出した経緯を語った。その上で、「全ての技能実習生が(人として)平等に扱われることを望んでいる」「自分の子供が外国で働き、そこでひどい扱いを受けていたら、どう感じるか考えてほしい」「互いの尊厳を侵さず、人としての関係を築きましょう」と訴えた。一方、同会の支援で新たな実習先を見つけられたことに感謝していると話した。