「同宗連」結成40周年記念式典 差別のない社会へ 宗教者の役割を確認
「『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議」(「同宗連」)の結成40周年記念式典が4月15日、京都市内のホテルで行われた。「同宗連」に加盟・協賛する44団体から95人の宗教者が参加。立正佼成会から澤田晃成総務部部長(本会人権啓発委員会委員長)が出席した。
「同宗連」の結成は、1979年に米国プリンストンで開催された世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)の第3回世界大会の席上、日本の宗教者が部落差別問題(同和問題)への不適切な発言をしたことが端緒となる。大会終了後、WCRP/RfP日本委員会をはじめ日本の宗教界は部落解放同盟から糾弾を受けた。以後、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、天理教、日本基督教団を中心に53教団3連合体が話し合いを重ね、宗教者が差別を助長してきた面を深く反省し、相互啓発を図りながら、真摯(しんし)な姿勢で「同和問題」の解決に取り組むため、81年に「同宗連」を結成した。
「同宗連」はこれまで、「部落解放基礎講座」などを通し、差別の現状や人権問題について学習を重ねている。本会は結成時から加盟し、第9期(97~98年)、第17期(2013~14年)の議長教団を務めた。
式典では、足利善彰「同宗連」議長(浄土真宗本願寺派)、組坂繁之部落解放同盟中央本部中央執行委員長の挨拶に続き、日本ラグビーフットボール協会の谷口真由美理事(法学者)が『いのちの尊重~差別解消に向けて宗教者が果たす役割~』と題し記念講演を行った。
この中で谷口氏は、国連開発計画が発表した2018年の「人間開発指数」(国民の生きやすさ、生活の豊かさを表す数値)で、日本は世界189カ国中19位である一方、世界経済フォーラム発表の「ジェンダーギャップ指数2021」(各国の性別の違いによる格差を数値化したもの)では世界156カ国中120位であることを紹介。「『性』というフィルターを通すだけで順位が大きく変わるのは、日本の社会に性差別が存在しているから」と述べた。
近年はビジネスの世界においても「人権」が大きなテーマであると指摘。児童労働や強制労働といった非人道的な過程を経て生産された商品の購入を控える消費者は増えており、企業を含め全ての人に、人権意識を高めていくことが求められていると語った。その上で谷口氏は、「人権意識を高く保つには、常に知識を最新のものにアップデートする必要がある」とし、「古いままの知識に頼ると、無知による差別や人権侵害を引き起こしかねない」と強調。特に、宗教的倫理観を備えた宗教者こそ、より一層高い人権意識を持ち、差別のない社会の実現に向けて人々を教導する役割があると語り、参加者に期待を寄せた。
この後、「同宗連」第11期事務局長を務めた深澤信善師(曹洞宗慶安寺住職、同宗務庁人権擁護推進本部元事務局長)が『「同和問題」にとりくむ宗教教団連帯会議の歩み』をテーマに記念講演。「同宗連」結成の経緯などを振り返った。
翌16日、「同宗連」の「第41回総会」が同市内のホテルで行われ、本会が21期の企画委員長教団になることが決まった。任期は2年。山越教雄総務部部長代理(本会人権啓発委員会常任委員)が同委員長を務める。