東日本大震災から10年 各地で慰霊と復興への願い

太平洋から昇る11日の朝日。温かい陽光が津波に耐えた松の木と復興が進む宮城の街を照らす。この日、多くの人が10年の歳月を振り返り、祈りを捧げた(宮城・名取市)

東日本大震災の発生から、3月11日で10年を迎えた。東北地方の被災した地域を包括する各教会では11日を中心に慰霊供養が営まれた。会員たちは犠牲となった大切な人と思いを通わせ、鎮魂と復興への祈りを捧げた。

地震と津波で大きな被害を受けた太平洋沿岸部ではこの10年間で、道路や病院、商業施設といったインフラのほか、災害公営住宅など住居面も整備された。

一方、震災で家族を失った人の悲しみは今も大きく、10年を経て喪失感が深まっている被災者もいると伝えられる。また住み慣れた地域を離れざるを得ず、災害公営住宅などに移り住んだ際に、新たなコミュニティーや近隣住民とうまく関係が築けず、孤独を感じている人も少なくない。昨年から新型コロナウイルスの感染拡大により人と触れ合う機会が減少する中で、「心の復興」への取り組みが懸命に続けられている。

また、福島県の沿岸地域では東京電力福島第一原子力発電所の事故により、現在も4万を超える人々が県内外で避難生活を送る。避難先に定住する子育て家庭の割合が高くなっており、地域の再生が急務になっている。

こうした状況の中、各教会ではこれまで、月ごと、年ごとに慰霊供養を行い、犠牲者に哀悼の誠を捧げ、早期の復興を祈念してきた。同時に、サンガ(教えの仲間)同士で支え合い、悲しみや不安を抱えた人への寄り添いや傾聴活動を続けてきた。その中には、自らも被災者でありながら、温かい触れ合いに努める会員も多い。

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