「ミャンマーに社会正義、国家の安定、調和ある共存を――教皇」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
核兵器禁止条約には核抑止論の放棄が必要
ドイツの福音教会(プロテスタント)の指導者60人がこのほど、核抑止論や核兵器の使用を拒否する声明文を公表した。署名欄には、「希望の神学」を提唱したユルゲン・モルトマン師、世界教会協議会(WCC)のコンラッド・ライザー元総幹事らが名を連ねている。2月4日、WCCのプレスリリースで伝えられた。
核兵器禁止条約は、今年1月22日に発効した。声明文でプロテスタントの指導者は、同条約が核兵器の開発、実験、生産、保有、使用を禁止するだけでなく、政治的に利用することも禁じていると説明。国際法による核兵器の禁止は、核兵器の保有と威嚇を自国の安全保障の手段とする核抑止論に疑問を呈するものと唱えている。この点から、「核抑止論が放棄されない限り、核軍縮の進展は望めない」とし、発効を歓迎するだけではなく、さらなる取り組みの必要性を示した。
さらに、同条約が発効した今、あいまいな形で賛意を表明し、政府に(批准を)促すだけでは不十分であると強調。「私たちキリスト教徒は、神の愛の福音がもたらす和解の力を信頼し、平和のために祈り、核抑止論によって増幅される恐怖心や、敵対国とその国民に対する偏見を取り除いていかなければならない」と訴えた。
同条約の発効が世界に「希望を与える」と、その意義を強調。多くの国が安全保障政策の基盤としている核抑止論の危険性を理解し、対立は軍事によらず、政治的な外交によって解決できると確信すれば、「核兵器禁止条約が核軍縮へ向けた第一歩となり得る」との見解を表している。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)