「布薩の日」式典で庭野会長が法話 今こそいのちの尊さ伝えて

法話に立った庭野会長は、自らのいのちが数えきれない生命のつながりによってあることを説き、その尊さを示した

1月15日、立正佼成会の「釈迦牟尼仏ご命日(布薩=ふさつ=の日)」式典が東京・杉並区の大聖堂で営まれ、庭野日鑛会長が法話を述べた。会員は参集せず、式典の映像がインターネットでライブ配信(会員限定)された。

式典では、國富敬二理事長を導師に読経供養が行われた。仏讃歌の斉唱に続き、矢部和子三鷹教会長が体験説法に立った。

矢部教会長は、両親の入会の経緯や信仰歴を紹介し、自らも学生部活動に参加していた当時を述懐。自信が持てずに、卑屈な心でいたが、当時の教会長がずっと見守っていてくれたことを知り、「あなたは、あなたにしかない尊いものを持っているんだよ」と声をかけられたことで、勇気を持って人生を歩め、その後、サンガや両親に感謝できた体験を発表した。

また、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響でサンガが集えない中、会員の救いのために何をすべきかと悩んだ末に、はがきや電話を使って会員と心を通わせた日々を振り返った。コロナ禍でも、それぞれの場で精進を重ねるサンガの姿に触れながら、「自行化他」の実践を誓願した。

この後、法話に立った庭野会長は、今年が平成3年に庭野日敬開祖から庭野会長に法燈が継承されて30年にあたることに言及。同4年から、「親戚まわり」として全国各教会を訪問した背景の一つに、森政弘東京工業大学名誉教授の著書『心眼――エサしか視えないカエル』に記された、いのちの捉え方に感銘を受けたことがあるからと話した。

その上で、宇宙の歴史の中でさまざまな物質や生命が受け継がれて、今それぞれのいのちがあると記す森氏の解説や、「永遠の過去から永劫の未来へと受けつがれてゆく、宇宙の大生命そのものがぼくたちの命なのである」という言葉を引用し、全てのいのちが尊く、つながり合っているという仏教観を示した。コロナ禍で困難な状況が続く今こそ、「私たちは、人間としていのちを頂いたことの有り難さを自らも感じ、人さまにお伝えしていくことが大事」と述べた。