「教皇がイラク訪問を予定――イスラーム・シーア派最高指導者との会見も」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

米国民へ民主主義の擁護を――教皇

米連邦議会で1月6日、米大統領選でのバイデン氏の勝利を正式に認定するための上下両院合同の会議が行われた。このさなか、敗北を認めないトランプ大統領から抗議のために議会に向かうよう扇動された支持者たちが議会に乱入。会議が中断される前代未聞の事件が起き、5人の死者が出た。

ローマ教皇フランシスコは10日、正午の祈りの席上、連邦議会で発生した暴動に動揺する米国民にメッセージを送った。この中で、民主主義を揺るがす衝撃的な事件で生命を失った犠牲者のために祈り、「暴力は常に自己破壊である」と訴えた。

さらに、「暴力によって得られることはなく、多くのものが失われる」と強調。国家権威と全ての国民に対し、冷静さを取り戻し、国内の和解を促進し、米国社会に根づいている民主主義という価値を守るために、高き責任感を持ち続けてほしい」と呼び掛けた。

最後に、「米国の守護者である無原罪の聖母マリア」に向かい、「米国民が共通善(公共の利益)を共に構築していくための大道である、出会いの文化、癒やしの文化を保ち続けられますように」と祈った。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)