WCRP/RfP日本委青年部会主催の公開学習会『プラスチックの現状と課題』がオンラインで開催

齋藤氏は、プラごみによる海洋汚染の実態を報告し、各人の意識変革を訴えた(「Zoom」の画面)

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会青年部会主催の『プラスチックの現状と課題』と題する公開学習会が10月31日、ウェブ会議システムを使ってオンラインで開催された。テーマは『国連SDGsの環境問題と青年による解決にむけて』。齋藤忠夫東北大学名誉教授が講演し、加盟教団の信徒や市民約100人が視聴した。

齋藤氏は、2015年に国連で「持続可能な開発目標」(SDGs)が採択された背景には、地球温暖化や生物多様性の保全など地球規模の課題が深刻で、全世界で取り組む必要があることを説明。海洋汚染の実態として、海岸に打ち上げられたクジラの体内から大量のプラスチックが見つかる事例を紹介し、現在、適正な処理がなされず再利用にも回らない大量のプラスチックごみが海に流出している現状を報告した。

齋藤氏は、プラスチックは価格が安く、軽量で加工が簡単な上、腐食に強いために便利な半面、捨てられやすく、海洋では数百年にわたって分解されずに蓄積すると指摘。近年、問題視されているマイクロプラスチックは、魚介類の体内に取り込まれ、食物連鎖で人間にも悪影響を及ぼす恐れがあると話した。

深刻な状況に対し、2019年に大阪市で開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、50年までに新たな海洋汚染をゼロを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が示され、「脱プラ」に対する国際協調の機運が高まっている現状を詳述。その上で、使い捨てプラごみ1人あたりの発生量が世界2位である日本の責務は重大であり、マイバッグやマイボトルを持参して各人が減量に努めると同時に、プラスチックの生産と使用を大幅に減らす社会に変えていかなければならないと訴えた。この後、参加者によるグループディスカッションが行われた。