佼成学園高野球部 野球できる喜び胸に 都大会に向け一丸
新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった今夏の「第102回全国高等学校野球選手権大会」に代わり、7月18日から東京都高等学校野球連盟(都高野連)独自の「2020年夏季東西東京都高等学校野球大会」が開催される。
同大会には257校243チームが出場。佼成学園高校は、25日に東京・八王子市のダイワハウススタジアム八王子で、昨年夏に甲子園に出場した國學院久我山高校との初戦を迎える。
「ナイスプレー」「送球が高い」「しっかりやれー」――。8日夕、東京・杉並区にある佼成学園中学・高校の総合グラウンドには、金属バットの打球音やグローブの捕球音とともに、白球を追い掛けるナインのはつらつとした声が響いていた。森士恩(しおん)投手(3年)は、「普段の生活にあって当たり前だった野球ができなくなり、野球は自分にとって、かけがえのないものだと気づきました。3年生全員で最後の大会を楽しみたい。そのためには、やっぱり優勝しかないと思っています。みんなで力を合わせ、必ずてっぺんを取る」と意気込む。
同ウイルス感染症の影響により、野球部は2月下旬から活動を休止。夏の甲子園もその地方大会も中止となったが、都独自の大会が開催されるとの発表を受け、6月6日から練習を再開した。休部していた約3カ月半、部員たちは公式戦が行われることを願い、オンラインによるミーティングを重ねてモチベーションを維持しながら、自宅でウエートトレーニングや素振りなどの自主トレーニングに励んだ。練習を再開した日、藤田直毅監督はグラウンドで汗を流す部員たちのコンディションの良さに驚いたという。
藤田監督は、「全国の高校3年生にとっての『最後の夏』がなくなった中で、都の高野連が独自に大会を開催してくださり、心から感謝しています。まずは感染者を一人も出さずに大会に臨むことが大事です。そして、佼成がモットーに掲げる『全員野球』で、最高の舞台にしようと話しています」と語る。
野球部は現在、朝夕の検温、手洗いや消毒の徹底、「3密」を避けるため着替え場所の分散に加え、公共交通機関を利用する生徒には家族に車での送迎を依頼するなどの感染防止策を取っている。週5日の練習と他校との練習試合を通じてサインプレーや守備の連携を確認し、各選手がプレーの精度の向上に努めている。
三塁手の小柴滉樹主将(3年)は、「甲子園が中止になって落ち込んでいた時、監督から『ここで人生は終わりじゃない』と励まされ、もう一度前を向こうと心を切り替えることができました。今、野球ができる喜びでいっぱいです。どこが相手でも自分たちの野球に集中し、優勝を目指して全員が一つになって戦いたい」と落ち着いた口調で話した。