WCRP/RfPが学習会 『難民問題を学ぶ――カナダの事例から』テーマに

講演に立ったトロント大司教区難民事務局(ORAT)のマルク博士

『難民問題を学ぶ――カナダの事例から』をテーマに、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会難民問題タスクフォースによる学習会が2月21日、立正佼成会本部大聖ホール(東京・杉並区)で開催された。宗教者やNPOの関係者ら約60人が参加。本会から川端健之理事長、川本貢市・中央学術研究所所長らが出席した。

今回の学習会は、認定NPO法人「難民支援協会」(JAR)が協力。当日は、JARの石井宏明常任理事が講師を紹介し、トロント大司教区難民事務局(ORAT)のマルティン・マルク博士が、『教区またコミュニティーによる市民難民再定住(CRR)』をテーマに講演した。

カナダでは一昨年11月、人道的な観点からシリア難民の受け入れを公約に掲げたジャスティン・トルドー氏が首相に就任。これまで、自力でカナダに逃れてきた難民と、出身国以外の国に逃れている難民合わせて2万5000人を受け入れた。

このうち、後者の「第三国定住」に関するカナダの特徴は、政府による受け入れだけでなく、官民連携によるプログラムや、民間主導での受け入れも可能な点だ。「プライベート・スポンサーシップ」と呼ばれる民間主導の受け入れは、2万5000人のうち8950人に上った。

講演の中で、マルク博士は、こうしたカナダの難民受け入れの現状やORATが同国政府と協力して実施する難民の受け入れプログラムを紹介。支援を受けて同国に逃れてきた難民は、“新しいカナダ人”として永住権が与えられ、市民の賛同の中で国家のあらゆるサポートを受けられると語った。

その上で、難民の受け入れを成功させるためには、政府との連携に加え、難民を共に暮らす市民としてコミュニティーが包摂する環境の大切さを力説。大半の難民は、社会や人の役に立ちたいと願っていると語り、「ただ単に物質的な支援をするのではなく、就職の手段など自立するための方法を伝えていくことが最も重要」と強調した。