バチカン諸宗教対話評議会がベサク祭に際してメッセージ(海外通信・バチカン支局)

バチカン諸宗教対話評議会は4月2日、世界の仏教徒が満月の夜に釈尊の降誕を祝う「ベサク祭」(5月19日)に際し、仏教徒とキリスト教徒に「慈悲と友愛の文化を建設しよう」と呼び掛けるメッセージを公表した。

メッセージは、同評議会議長のミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿名によるもの。この中で、昨年2月にローマ教皇フランシスコがアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで、イスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長と共に署名した「人類の友愛に関する文書」に触れ、全ての宗教の教えは平和を大切にし、相互理解、人類友愛、共存を説くと明示した。

その上で、釈尊と同じように、イタリア・アッシジの聖フランシスコも自らの富と名声を捨てて布教に邁進(まいしん)したと説明。世俗の迷いを離れ、人々の苦を軽減するため、こうした先人の教えを基に「自然環境を守り、慈悲と友愛の文化の構築に献身していこう」と訴えている。

さらに、「全てが関係によって成り立つ世界では、相互に支え合うことが私たちを慈悲と友愛に導く」と強調。仏教とキリスト教の両信徒による協力が、「全ての生きとし生けるものの『共通の家(地球)』にとって、祝福の源泉となるように」と願った。

普遍的な連帯を継続するには、若者に相互理解の大切さを伝える教育が必要と指摘。相手の声に忍耐強く耳を傾ける能力や、建設的な対話の重要性を若者に伝授していこうとアピールした。

最後に、新型コロナウイルスの感染者と、彼らの治療を行う人々のために共に祈ろうと呼び掛け、「仏教徒とキリスト教徒が、この困難な時を希望と慈しみ、愛徳によって克服していけるように」と伝えている。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)