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ロシア連邦議会下院議長 「神への言及を含む憲法改正案」を詳説

ロシア連邦議会下院(ドゥーマ)の議長であるビャチェスラフ・ボロージン氏は3月2日、プーチン大統領によって提案された「神への言及を含む憲法改正案」について詳しく説明した。

同氏は、プーチン大統領による憲法改正の理由を「一千年紀にわたる歴史を有するロシアを築いてきた先人によって継承されてきた、理想としての神への信仰を記憶し、その信仰がロシアの継続的発展を保障してきたことを歴史的に認知する」ことだと明かした。

また、ロシア正教会最高指導者のキリル総主教がプーチン大統領に憲法改正を進言していたことが知られている。同総主教は、「憲法の中で、神への信仰の価値について言及することは、宗教のない自身を想像できないロシア国民にとって歴史的、霊的継続性を確固たるものにしていく」と強調し、「聖像破壊(共産主義無神論)の時代に、信仰を放棄しないことで迫害を受けた数百万の人々に対する敬意である」と語っている。

その後、同総主教は2月28日、ロシア諸宗教評議会とロシアキリスト教間諮問委員会に呼び掛け、憲法改正に向けた合同会議をモスクワで開催。国内のロシア正教会、イスラーム、ユダヤ教、アルメニア正教会、カトリック教会やプロテスタント諸教会などの指導者が参加した。会議後に公表された声明文では、「多民族、多宗教国家における平和を定め、神についての言及を憲法改正案に挿入する提案をわれわれは支持する」と表明。「結婚を男女間における結び付き」とする憲法規定をも提案したと明かしている。

同改正案は3月11日、議会の上下両院で可決された。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)