「新型コロナウイルス(COVID-19) バチカンで初の感染者を確認」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

新型コロナウイルス(COVID-19) バチカンで初の感染者を確認

イタリア国内で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大しており、3月8日現在、感染者数は6387人、死者は366人に上る。これまで、感染者は同国北部のロンバルディア州、ヴェネト州の封鎖地区に集中していたが、今は全土へと広がりつつある状況だ。

同国のコンテ政権は4日、全ての学校を15日まで休校とするなど感染拡大防止策をまとめた首相令を発令した。映画館や劇場を閉鎖、行事、集会や催しを停止し、スポーツ競技は無観客で開催される。また、人の集まる所では人と人の間を最低1メートル以上空ける、高齢者の外出を禁止する勧告なども含まれた。

首相令を受け、同国のカトリック司教会議は、封鎖地区の2州、隣接するエミリア・ロマーニャ州の教会でのミサなどを禁止。その他の州では、首相令に従ってミサや司牧活動(信者の指導)、教育活動を行うよう指針を示した。だが、コンテ政権は8日、国民の動きをさらに規制する新首相令を公表。同司教会議は、イタリア全土での教会におけるミサ、冠婚葬祭を含むあらゆる宗教行事を停止すると公表した。

バチカンのマテオ・ブルーニ広報局長は5日、同国政府の首相令に沿い、「新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、教皇、聖座(バチカン)、バチカン市国の対策を検討する」との声明を公表した。また同氏は翌日、聖職者、修道女や信徒を中心に約800人が住む同市国で、「(初の)新型コロナウイルスの感染者が確認された」と発表。これを受け、7、8の両日に行われるバチカン広場での正午の祈りでは、ローマ教皇フランシスコは姿を見せず、バチカン宮殿の教皇専用書斎内で祈り、スピーチすると発表し、その映像をインターネット上で公開し、11日の一般謁見(えっけん)も同じ形式で執り行うと明らかにした。

教皇は8日、映像を通し、「今日の天使の祈り(正午の祈り)は、教皇が書斎に閉じ込められてしまい、おかしな祈りになってしまった」と前置きした後、法話を述べ、聖母マリアへの祈りを捧げた。続いて、「新型コロナウイルスの感染症に苦しむ人々と、彼らの治療に従事する人々のために祈る」とスピーチした。

同広場には、通常のような数千人に上る信徒たちの姿はなく、数百人が広場に設置された巨大スクリーンを通して教皇の法話に耳を傾けた。その後、祈りとスピーチを終えた教皇は、同書斎の窓を開けて集まった人々に手を振り、あいさつした。

バチカン記者室は8日、バチカン美術館などを4月3日まで休館することを発表。さらに、教皇が毎朝、居所「聖マルタの家」で行うミサを他の聖職者や信徒に開放することを中止し、インターネット上での映像配信にすると伝えた。またバチカン国務省は同日、バチカン諸機関(クリア・ロマーナ)と、その関連機関内で新型コロナウイルスの感染を予防するために順守する規則を公表。バチカン診療所で6日に感染を確認した外来患者と接触した5人を、医療施設に隔離したと報じた。

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