「新型コロナウイルス(COVID-19) バチカンで初の感染者を確認」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

聖エジディオ共同体がフランスに使節団を派遣 マクロン大統領と懇談

聖エジディオ共同体(カトリック在家運動体、本部・ローマ)は3月3日、創設者のアンドレア・リカルディ氏を代表とする使節団をフランス大統領官邸のエリゼ宮殿に派遣し、マクロン大統領と懇談した。

同共同体の声明文によると、懇談の席上、「フランスと聖エジディオ共同体に共通するさまざまなテーマ」が話題に上ったという。両者は、「政治と社会との複雑な関係」に触れ、欧州連合(EU)の弱点のみならず、「欧州の共通善(公共の利益)として考えるべき“霊的な勢力”(欧州の魂としての諸宗教の役割)」について議論。“霊的な勢力”を台頭させるためには、「諸宗教対話、特にイスラームとの対話」が重要であると確認した。

また両者は、アフリカ情勢に関しても意見を交わした。その中で、同共同体が平和実現に向けた調停を推進する「中央アフリカ、南スーダン、カザマンス(セネガル)における紛争状況」に言及。モザンビークなどアフリカの11カ国で展開するHIV陽性者の健康維持や回復、母子感染の予防、衛生教育などを行うプログラム「DREAM(Disease Relief through Excellent and Advanced Means)」について話し合った。

同共同体は近年、イタリアのプロテスタント教会と協力して政府に呼び掛け、シリアやアフリカ諸国から逃れてきた難民の受け入れ先を準備して合法的に入国させるプロジェクトを展開している。欧州各国の政府も同プロジェクトに注目しており、今回のエリゼ宮殿での懇談内容ともなった。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)