WCRP/RfP日本委 「気候変動への非常事態宣言」発表
世界各地で大規模な気象災害が起きていることを受け、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会はこのほど、「気候変動への非常事態宣言」を発表し、危機感を持って環境問題の解決に取り組む決意を表明した。
昨年8月にドイツ・リンダウで開催されたWCRP/RfPの第10回世界大会でも、気候変動に対する宗教コミュニティの緊急行動について討議された。その後に採択された「大会宣言文」(リンダウ宣言)に具体的な行動が明記された。
今回の非常事態宣言は、同日本委の気候変動タスクフォースが宣言文の素案を作成し、1月28日の「第30回理事会・第19回評議員会」で審議の上、承認された。当日、理事会での審議に先立ち、植松誠理事長(日本聖公会首座主教)は、「地球温暖化は危機的状況にあるという認識にあります。リンダウでも『もう時間がない』という意識で熱心な議論がされました。私たちは深い関心を持ち、どんな小さなことでも身近なところから真剣に取り組んでいかなければなりません」とあいさつしていた。
宣言では、「地球環境がもはや元に戻らない危険水域にすでに入っている」と指摘。環境問題の解決に向け、「私たちは歴史上、前例のない規模とスピードで取り組む必要がある」と強調した。
さらに、第10回世界大会で、ある先住民が語った「母なる地球が苦しめば、人間も苦しむ。人間が苦しめば、母なる地球も苦しむ」との言葉を引用。大会では、世界のコミュニティが「地域、国、世界レベルにおける祈りと行動を早急に実施していく」と誓い合ったことを明記した。
その上で、同日本委として『慈しみの実践:共通の未来のために』をテーマに、個人、宗教コミュニティ・教団、政治、経済、教育の五つのカテゴリーにおいて行動していくことを明示。具体的な実践として、少欲知足に基づくライフスタイルの確立、宗教施設の森林保護と植樹活動への参画、クリーンエネルギーや公共交通の利活用などによる環境負荷の軽減、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」の達成に向けた各国政府への働きかけ、大量生産・大量消費・大量廃棄の経済システムに対する警報の発信などを掲げた。
同宣言は加盟教団で共有される。関係諸団体にも発信し、気候変動の問題に対する世論を喚起していく。