「一食地域貢献プロジェクト」各地で 障害者福祉、児童福祉に力点 77教会が計190団体を支援

高鍋教会では今回、壮年部員や支部の一食推進担当者らで委員会を構成し、「困難な状況にある人々に寄り添い、心豊かな社会を目指している地域の団体を支援していく」との方針を設定。宮崎・高鍋町に高齢者のみの世帯や、ひとり親家庭が多い事情を踏まえ、同町社会福祉協議会の協力を得て支援先を検討し、「高鍋町認知症介護者のつどい」「高鍋町母子寡婦福祉協議会」「絵本読み聞かせ『虹の会』」を選出した。

高鍋教会が支援した「高鍋町認知症介護者のつどい」によるカフェ。認知症患者とその家族らが集い、心を癒やす

この中の「高鍋町認知症介護者のつどい」は、家族を介護する人を対象に月1回、定例会を開催。生活上の悩みや介護情報を共有し、支え合う取り組みを行う。加えて月に1回、地元の喫茶店を借り、認知症患者とその家族、さらに地域住民らでコーヒーや紅茶などを飲みながら心を癒やす活動を続けている。

昨年11月15日の贈呈式で挨拶に立った與那城耐(よなしろたい)代表は、数年後に団塊の世代が後期高齢者になる状況を踏まえ、「認知症への理解が広まり、患者とその家族、地域の人々との交流が深まって人に優しい町になることを願っています」と述べた。

選定に当たった同教会の男性会員(72)は、「地域の課題を知ることができました。今後も各団体とつながっていけたら」と話した。

一方、渋谷教会では支部の代表者らで実行委員会を編成。「わかちあいの心で地域の人たちとつながり、全ての尊い命を輝かせよう!」との基準を設けて選定を進め、NPO法人「ぱれっと」、認定NPO法人「よりどりみどり」への支援を決定した。

「よりどりみどり」は、精神障害のある人の社会復帰を目的に就労継続支援B型事業所「みどり工房」を開設。通所者はクッキーや七宝焼の製造技術を習得するほか、運営するカフェ内での調理や接客の技術を学んでいる。

また、同団体は月に1回、住民と一緒に夕飯を囲む「どなたでも食堂」を催し、ヨガの講師、薬剤師を招いて健康や処方薬について理解を深める講習を実施。障害者への偏見や精神科受診の壁をなくすための啓発に力を注ぐ。

吉本恵理事(みどり工房施設長)は、「精神保健福祉に対する理解が広まれば、多くの方が安心して暮らせる社会になります」と話した。

同教会の男性会員(67)は、「浄財が、誰も取り残されない社会の実現に向けて役立てられ、私たちの大きな励みになりました」と語った。