釈尊が悟りを開いた意義をかみしめる「成道会」 菩薩行実践の誓い新たに
釈尊が悟りを開いた意義をかみしめ、報恩感謝の心でさらなる菩薩行の実践を誓う「成道会」が12月8日、立正佼成会の大聖堂(東京・杉並区)はじめ各教会で挙行された。大聖堂には会員約3500人が参集。法話に立った庭野日鑛会長は、誰もが精進することで悟りを得られると示し、全ての人、物と自分とは一つなのだという「自他一体」の心で繰り返し菩薩行に励む大切さを説いた。
大聖堂での式典では冒頭、釈尊が菩提樹の下で悟りを開いた成道の様子を解説するアニメーションが上映された。花や灯明などを供える奉献の儀に続いて読経供養が行われ、導師をつとめた庭野光祥次代会長により庭野会長名の「啓白文」が奏上された。
この中で庭野会長は、釈尊が悟りを開いた後、大衆の苦を救いたいと願って教えを説き続け、「一切衆生が智慧(ちえ)と慈悲に満ちた仏の境地にまで高まるようにと、ついに霊鷲山で法華経を説かれました」と説示した。さらに、「開祖さまもまた、お釈迦さまの本懐経である法華経の精神を体して、立正佼成会を創立され、真理を布教伝道されました。私たちは、開祖さまのお陰さまで、お釈迦さまのみ教えに導かれ、仏さまの願いに目覚めることができたのであります」と示し、仏教徒の使命に努めていくと決定(けつじょう)した。
体験説法では岡山教会支部長(69)が、7年前に38歳の長男を病気で失い、悲嘆していた時、自らと同じように大切な家族を亡くしたサンガ(教えの仲間)と触れ合った様子を紹介。「長男の死を通して味わった悲しみや苦しさ、切なさは同じだ」と感じて寄り添えたことを披歴した。
また、その後に受けた研修で、悲しみを抱えながらも、菩薩行に邁進(まいしん)することで困難を乗り越えられると学び、夫と共に多くの人の幸せを願って修行に努めてきた日々を述懐。「長男が亡くなってまでも、私たちに多くの事を気づかせ、導いてくれている」と、長男のいのちの尊さを深く受けとめられた体験を語った。
法話に立った庭野会長は、「成道」とは「仏に成り道を得ること」であるとし、全ての人が精進することで悟りを開くことができると教示。釈尊が悟りを得た時、宇宙にまで自分の心を広げていったとし、「そういう大きな心になっていくと、私たちの悩みは解決される」と述べた。
さらに、「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という宮沢賢治の言葉を紹介し、悟りを得た人は真の「自己」に目覚め、「全ての人、物とが自分と一体になり、大切に感じられるようになる」と強調。そうした「自他一体」の心を習得するために、菩薩行に励むことが重要と説いた。