「言動の差を縮めよ――ローマ教皇フランシスコがCOP25にメッセージ」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
言動の差を縮めよ――ローマ教皇フランシスコがCOP25にメッセージ
ローマ教皇フランシスコは12月4日、スペイン・マドリードで同2日から13日まで開催されている「第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議」(COP25)に宛てたメッセージを公表した。
COP21(フランス・パリ)で採択された「パリ協定」から4年の歳月が経過した現状に対し、教皇は、人類共通の家(地球)を守るために協力するという意識が薄く、科学データに示された気候変動に対する迅速な対処に応えていない国際社会を批判。「パリ協定で定められた目標の達成に向けて、気候変動を緩和するための各国の努力は目標値からはるかに遠い」と述べ、「その事実や、それについての発言がいかに具体的な活動から遠いかを示している」と指摘した。
さらに、気候変動に対処するために経済発展のあり方を変え、各国が連帯し、気候変動と貧困問題が深く関連していることを訴えていくことに合意できると強調。各国に対し、「気候変動で苦しむ、最も貧しく、傷つきやすい人々を支援するために、さらなる人的、経済的、技術的な資源を投入する政治決断があるのか」と問い掛けた。彼らが地球上で人間らしく生活するための条件を提示する「明確で、長期的展望に立った政治決断」を要請した。
また、気候変動への取り組みを「文明の挑戦」と明示。その理由として、「共通善(公共の利益)と、人間の尊厳をわれわれの活動の中心に置くよう迫られており、それが、気候変動に対処する人間環境学(ヒューマンエコロジー)として示されているから」と述べた。
最後に、若者たちの気候変動に対する関心の高さを評価し、「前世代が起こした問題を次世代に残してはならない」と訴えた。
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