仙台教会が発足60周年を記念し市民講演会 『日本の歩むべき道』と題し小泉元首相が登壇

小泉元首相は、原発の危険性に言及し、自然エネルギーへの移行の必要性を訴えた

「仙台教会60周年記念市民講演会」が10月6日、仙台国際センターで行われ、小泉純一郎元首相が『日本の歩むべき道』をテーマに講演した。市民や立正佼成会仙台教会の会員、約1200人が参集した。

同講演会は、教会発足60周年を機に、市民と共に現代社会の課題について考えることを目的としたもの。

講演の中で小泉氏は、自身が首相として政権を担った時代は、日本の電力供給源として、原子力発電を軸にエネルギー政策を進めてきたが、2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故の深刻さによって考えを改めたと説明。放射能の影響で、多くの人が避難を強いられたことに心を痛め、エネルギー問題を学び直したと話した。原発はいったん事故が起きれば、自然環境や人々の暮らしへの影響は甚大で、事故処理や賠償に莫大(ばくだい)な資金が掛かることなどから、原発のメリットといわれていた「安全」「安い」「クリーンエネルギー」に疑念を抱いたことを吐露した。

その上で、原発に代わる電力源として、自然エネルギーの必要性を強調。福島第一原発の事故後、太陽光、水力、地熱などの自然エネルギーへの移行が徐々に進み、国内の発電量に占める割合が増加している状況を踏まえ、「国内には、自然エネルギーの資源が豊富にあるのだから、日本の全電源を自然エネルギーで確保することは決して夢物語ではない。原発がなくても、やっていけると確信を持った」と語った。