本会一食平和基金 平成29年次は国内外の事業に3億1401万円

食事を抜いて寄せられた浄財は、今年もさまざまな支援活動に役立てられる。昨年の「一乗ボランティア アフリカ毛布ボランティア隊」事業では、マラウイの人々に毛布が届けられた

立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会はこのほど、中期運営方針(平成25~29年)に基づき、同29年次の運営計画を発表した。予算総額は3億1401万2000円。同方針最終年の今年も、NGOなど多くの団体との協働により、「貧困(飢餓)の解消」「教育・人材育成」「緊急救援・復興支援」を重点とする全10分野の支援事業が展開される。これらの取り組みに浄財が役立てられる。

本会一食平和基金は、会員が食事などを抜いてその食費分を献金する「一食を捧げる運動」の献金によって運営されている。

「持続可能な開発目標(SDGs)」に関して、昨年発表された国連の報告書によると、世界では、依然として8億人近くが極度の貧困と飢餓状態にある。一方、シリアなどのイスラーム圏で大量に発生する難民を受け入れてきた国の中には、欧州などで難民や移民が関係する事件が頻発した影響から、受け入れに慎重な姿勢に転じたケースも出ており、多様性と寛容性を認める社会に逆行する動きが出現し始めた。加えて世界では、大規模な自然災害が増加傾向にある。

同委員会ではこれらの現状を踏まえ、「貧困(飢餓)の解消」を優先して取り組むべき地球的課題と位置付け、カンボジアやラオスの自然資源を生かし、気候変動に順応できる持続可能な有機農法を住民と共に推進する「農業・環境・地域開発事業」に浄財を拠出。このほか、国連世界食糧計画(国連WFP)と協働してブータンの学齢期の子供たちに給食を提供し、栄養状態の改善や就学率の向上を目指す事業や、「アフリカへ毛布をおくる運動」の輸送費にも献金が充てられる。

また、貧困の根本的な解消のためには、経済的困窮への対処と併せて、社会の安定化に貢献する人材の育成が不可欠との観点を重視。国や民族、宗教の違いを受け入れる寛容性を養い、互いを尊重する姿勢を人々の心に育むことを目的に、昨年に引き続き「教育・人材育成」も重点分野に挙げられている。

紛争や対立で心に傷を負った世界の子供たちに、本会の小学生、中学生らが文房具やおもちゃなどを手作りの袋に詰めておくる「親子で取り組むゆめポッケ」も継続。日本に逃れてきた難民の保護と難民理解のための情報発信を行う「国内難民支援事業」、フィリピンの将来を担う人材育成と教育の向上を目指す「フィリピン・バターン青少年人材育成事業」などにも予算が充当された。

さらに、「緊急救援・復興支援」の項目では、東日本大震災の被災者を継続的に支援する「こころホット」プロジェクトをはじめ、「一食三県支援事業」として、福島・宮城・岩手の被災者のニーズに沿って活動を展開する非営利団体に対して助成が行われる。また、国内外で自然災害や紛争などが発生した際には、災害規模に応じて支援を検討。同時に現地で救援活動を行う団体と調整した上で献金を寄託する。

それぞれの教会が、地域の非営利団体を支援する「一食地域貢献プロジェクト」も推進。このほか、戦争や迫害などで母国を追われた難民の救済などにも浄財が役立てられる予定だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

一食を捧げる運動

月に数回食事を抜く、あるいはコーヒーなどの嗜好(しこう)品を控えて、その食費分を献金して国内外の諸課題に役立てる運動。
http://www.ichijiki.org