バチカン諸宗教対話評議会の新議長と元議長が枢機卿に(海外通信・バチカン支局)
ローマ教皇フランシスコは9月1日、バチカンでの正午の祈りの席上、10月5日に13人の新枢機卿を任命するとの考えを明かした。新枢機卿の内訳は、コンクラーベ(枢機卿の互選による教皇選挙会議)での投票権と被選挙権を持つ80歳未満の10人と、カトリック教会に対する特別な貢献が認められながらも、投票権を有しない80歳以上の3人。
投票権を持つ新枢機卿リストの筆頭には、バチカン諸宗教対話評議会の新議長であるミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット司教の名が挙がっており、アジアからはイグナチウス・スハルヨ・ハルジョアトモジョ大司教(インドネシア・ジャカルタ大司教区)が抜擢(ばってき)されている。
日本と関係のある新枢機卿としては、ジャン・クロード・オロリッシュ大司教(ルクセンブルク大司教区・イエズス会士)が挙げられる。投票権を持つ10人の中の1人であるオロリッシュ師は、1985年から89年まで上智大学(東京・千代田区)で日本文化と神学を学んだ。現在、「欧州カトリック司教会議委員会」(COMECE)の委員長でもある。
投票権を持たない3人の枢機卿の中には、マイケル・ルイス・フィッツジェラルド名誉大司教(英国・ネプテ名誉名義大司教)が含まれている。フィッツジェラルド師は88年からバチカン諸宗教対話評議会の次官(当時・神父)を務めた。
90年に立正佼成会の本部(東京・杉並区)を訪問し、庭野日敬開祖と懇談。91年に司教に叙階され、その翌年、イタリア人のカトリック聖職者、神学者、教員、出版関係者、ジャーナリストら67人からなる「日本スタディツアー」の団長として来日した際、佼成会本部で庭野開祖と懇談した。その中で、庭野開祖から、94年にイタリアで開催される世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)の第6回世界大会への教皇ヨハネ・パウロ二世の参加を強く要請された。その後、当時、バチカン諸宗教対話評議会の議長を務めていたフランシス・アリンゼ枢機卿と協力し、バチカン市国内で開催された同世界大会の開会式への教皇の出席に尽力した。2002年に同評議会の議長に任命され、大司教となった。
今回の教皇フランシスコによる新枢機卿の任命公表により、枢機卿団の総員は228人となる。その中で、有権者は128人(定員120人)、非有権者は100人になった。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)