新英訳『法華三部経』発刊 44年ぶり改訂 より読誦に適した文体に

新英訳『法華三部経』(The Threefold Lotus Sutra: A Modern Translation for Contemporary Readers)がこのほど、立正佼成会の国際伝道部から発刊された。改訂は44年ぶり。法華経の流布を目的に時代の変化に合わせた現代語表現を用いたほか、海外の会員などが教えの実践に努められるよう、より読誦(どくじゅ)に適した文体に整えられている。改訂作業は11年に及んだ。中央学術研究所所長を務めた篠崎友伸元理事(本名・通雄)と天台思想研究者のブルック・ジポーリン・米国シカゴ大学教授、デイヴィッド・エアハルト博士(本会秘書グループスタッフ)の3氏が翻訳を担当。庭野日鑛会長が「まえがき」を寄せた。

これまで欧米の布教拠点などで活用されてきた英訳『法華三部経』は、1925年に日蓮宗僧侶の加藤文雄師が訳出した「妙法蓮華経」に「無量義経」「仏説観普賢菩薩行法経」の英訳を加え、75年に佼成出版社から発刊されたもの。漢訳(鳩摩羅什=くまらじゅう=訳)からの英訳は世界初で、翌76年に国際出版文化賞を受賞するなど学術書として評価されたが、経年とともに擬古的な文体や難解な文章構造といった点が改訂要素として生じた。

2008年、篠崎元理事を委員長として、仏教研究者や国際伝道部スタッフらによる改訂委員会が組織された。同委員会では、過去に出版された『法華三部経』のさまざまな英訳を参考にし、漢訳と比較・照合しながら、ディスカッション形式で改訂作業を進めた。14年から用語の統一作業に移り、読誦のし易(やす)さに焦点を当てた再校閲、全米の教会幹部との意見交換などを経て、発刊に至った。

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