終戦から74年 各地で宗教者による慰霊式

長崎県宗教者懇話会による「第47回原爆殉難者慰霊祭」

「長崎原爆の日」を翌日に控えた8月8日夕、長崎、佐世保、諫早3教会が加盟する長崎県宗教者懇話会主催の「第47回原爆殉難者慰霊祭」(主管・長崎県明るい社会づくり運動推進協議会)が、長崎市松山町の原爆落下中心地公園で行われた。宗教者や加盟教団の信徒、市民約1000人が参集。中村憲一郎常務理事、澤田晃成総務部部長が参列、久井快哲佐世保教会長が、同懇話会会長として出席した。長崎教会が慰霊祭の運営を担った。

天理教長崎教区雅楽部の演奏で開式。原爆の熱線に焼かれ、水を求めて亡くなった犠牲者を慰霊する「献水の儀」、「平和の誓い」に続き、新日本宗教団体連合会(新宗連)長崎県協議会青年会の60人が「平和の灯」を献じた。

「平和の灯」を献じる新宗連長崎県協議会青年会の中高生たち

「慰霊の言葉」として、同懇話会の梶山祐弘真言宗御室派室生寺住職、世界連邦日本宗教委員会の一宮良範念法眞教教務総長、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会女性部会の河田尚子事務局長が登壇。河田師は、同日本委の植松誠理事長名の「慰霊のことば」を代読した。この中で植松師は、今夏ドイツで行われる第10回WCRP/RfP世界大会では、各国の宗教指導者に核兵器禁止条約の批准に向けた行動を呼び掛けるとした上で、「2020年のNPT(核不拡散条約)再検討会議などの重要な国際政治の場において、核兵器廃絶の最大の障壁となっている核抑止論の信憑性(しんぴょうせい)を問い、人道的観点からその廃絶を訴えてまいります」と述べた。

黙とう、献花の後、参加者全員で「長崎の祈り」を合唱した。

9日には、長崎教会で「原爆犠牲者慰霊供養」が厳修された。約100人が参集した。

式典では、被爆二世の支部長(58)と女性会員(59)による「献水の儀」、黙とうに続き、岩元良彰教会長を導師に読経供養が行われた。

中村常務理事が講話に立った

講話に立った中村常務理事は、国際的な緊張が高まる中、ローマ教皇フランシスコが今年、教皇として38年ぶりに訪日し、両被爆地を訪れる予定であることに触れながら、核廃絶の意義を強調。その上で、平和に向けて、「私たちは日々の生活の中で笑顔や優しい言葉、思いやりを忘れないように。それが平和をつくる一歩になります」と述べた。

式典の後、爆心地から2.4キロ地点で被爆した参列者の女性(87)は、「原爆を体験し、長崎に住む者として、犠牲になった方の慰霊をさせて頂かないと申し訳ない。戦争がいかにむごく、いかに平和が大切かを若い人に伝えていくことが残された者の役目と、痛切に感じています」と話した。

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