「『メッカ巡礼中に政治活動するな』とサウジアラビア政府」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

「メッカ巡礼中に政治活動するな」とサウジアラビア政府

米国のトランプ政権が5月8日に「イラン核合意」からの離脱を表明して以降、米国とイランとの関係は急速に悪化し、ペルシャ湾やホルムズ海峡で軍事衝突の危険性が高まっている。こうした中東における緊迫した状況を背景に、イランの最高指導者であるハメネイ師はこのほど、「今年のメッカ巡礼(ハッジ)中に、イラン人巡礼者による(反米の)政治デモが実行されるかもしれない」と警告した。「ユーラシア・レビュー」が7月10日に伝えた。

ハメネイ師は、「メッカ巡礼を政治化してはならないと言われているが、一致を構築していくことは政治活動であり、パレスチナ人やイエメン人のように、イスラーム圏において抑圧されている人々を支援、擁護していくことは、イスラームの教えと義務に基づく政治活動だ」と指摘。その上で、「ハッジが政治活動であり、その政治活動は宗教的義務である」と話した。イスラエルによって抑圧されるパレスチナ人や、サウジアラビアを中核とする軍事介入のもとで苦しむイエメン人と同じように、米国による経済制裁と軍事的圧力に耐え続けるイラン国民を擁護していくことは、イスラームの「スンニ派」「シーア派」という違いを超えた、イスラーム教徒の政治的義務であると言いたいのだ。

この発言は、トランプ政権の中東政策で同盟を結ぶ、サウジアラビアに対する明らかな批判でもある。今年のハッジには、約9万人のイラン人巡礼者がメッカに参集すると予測されている。ハメネイ師は、ハッジ中の治安を理由に、政治活動を抑制しようとするサウジアラビアの政策も批判した。だが、サウジアラビア政府は7月9日、サルマン国王を議長として開かれた閣僚会議の席上、「ハッジ中に宗教と政治を混同しないように」「聖域の個人的で霊的な性格を考慮するように」とのアピールを採択。サウジアラビア政府は、「ハッジ中に政治スローガンを叫ぶといった活動が巡礼を妨害する恐れがある」とし、「サウジアラビアは、そのような誤った行動を許さない」との見解を表明している。

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