兵庫県宗教連盟「叡智の会」 明石元国連事務次長を迎え講演会

兵庫県宗教連盟「叡智(えいち)の会」の「第15回記念講演会」が6月29日、立正佼成会神戸教会道場で開催され、元国連事務次長の明石康氏が『国連と共に歩んで』をテーマに講演した。県内の宗教者をはじめ、国会議員、近畿支教区と「壮年(ダーナ)総会」に参加した会員、市民ら約900人が参加した。

講演の中で明石氏は、昭和32年に日本人初の国連職員として働き始めたことを振り返り、当時から、日本には、世界の治安維持を国連に期待する風潮があることを説明。しかし、実際には平和構築には加盟国の協力と支援が不可欠であり、国連はあくまでもその実現に向けた折衝の場であると詳述した。

講演する明石氏

さらに、国連平和維持活動(PKO)の総責任者としてカンボジアと旧ユーゴスラビアで和平交渉にあたる中、反対勢力から妨害を受けたり、停戦合意後も続く戦闘の責任を問われたりと、多くの困難に直面したことを披歴。自分自身が大切にしている「優れた知性を持つ」「客観的に物事を見る」「志を持って仕事に取り組む」という価値観を多くの人と共有し、課題の解決に向けて取り組んだ体験を話した。

また、学術界では研究論文数が減少傾向にあるなど、日本の国際競争力の低下を指摘する見方が世界にはあると説明。勤勉、真面目という日本人の国民性は競争力の強化に大きな力を発揮すると強調し、「特に若い人たちは、海外へ留学するなど大いに自分の力を試し、誇りを持って世界で輝く都市、文明をつくってほしい」と期待を寄せた。