「説明できない悲劇」とケベックのカリタス修道女会(海外通信・バチカン支局)

5月28日に神奈川・川崎市多摩区でスクールバスを待つ私立カリタス小学校(カトリック)の児童ら20人を刃物を持った男が襲った殺傷事件は、カリタス学園の設立母体があるカナダでも報じられた。

同学園は1960年にカナダ・ケベックに本部を置くカリタス修道女会によって設立された。日本での殺傷事件について知らせを受けた本部のシスター・モニク・ジェルヴェー師は、「このような悲劇を説明できる理由がない」とコメント。カナダの「グローバル・ニュース」が29日に伝えた。

報道によれば、同シスターは、川崎のカリタス学園を二度訪れたことがあり、「その地域での暴力行為については聞いたことがなく、殺傷事件など起こることがないと思っていた」と振り返った。「唯一の慰めは、殺傷事件の発生後に多くの人が即座に駆け寄り、助け合ったことだ」と述べている。

「(1950年代に日本に)シスターたちを派遣したのは、人々を教育し、助け、日本の人々の生活に確固とした価値観に基づく意味を提供することによって、日本の社会建設を支援することだった」と同シスター。「児童たちが良い環境に囲まれ、スクールバスによって送迎されていたが、これからは、児童たちの安全を守るための努力が強化されなければならない」との希望も述べている。

また、「学校において、児童と教育関係者に対する心理的サポートも実行されていかなければならない」とも語り、「日本にいる私たちのシスターは、この悲劇の前で、彼女らのやらなければならないことを遂行していく。私たちは、この悲劇を共に乗り越えていく」との胸の内を明かした。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)