バチカン諸宗教対話評議会の新議長にアユソ司教が就任 庭野会長、光祥次代会長が祝電(海外通信・バチカン支局)

2016年5月に本会を訪れ、大聖堂での式典でスピーチを行ったミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット司教

ローマ教皇フランシスコは5月25日、バチカン諸宗教対話評議会の新議長に同評議会の次官だったミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット司教を任命した。議長のポストは、昨年7月のジャン・ルイ・トーラン枢機卿の帰天後、空いたままだった。

アユソ司教は1952年、スペイン・セビリア生まれ、82年に司祭に叙階された。同年、ローマ教皇庁アラブ・イスラーム研究所(PISAI)で修士号、2000年にスペインのグラナダ大学で教義神学の博士号を取得した。1989年から2012年まで、スーダン・ハルツームやエジプト・カイロのほか、PISAIでイスラーム学を教え、宣教活動にも従事した。2012年には教皇ベネディクト十六世よりバチカン諸宗教対話評議会の次官に任命され、16年には教皇フランシスコによってバチカンで司教に叙階された。

アユソ司教の諸宗教対話評議会における顕著な貢献としては、硬直していたバチカンとイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(カイロ)との関係を、長い年月をかけて修復し、交流を深めたことが挙げられる。中でも、2017年にアズハルで開催された「平和のための国際会議」への教皇の参加を可能としたことや、サウジアラビアのイスラーム指導者たちとの対話の促進、そして、歴代教皇としては初めてのイスラーム発祥の地であるアラビア半島(アラブ首長国連邦)訪問のための道をならし、教皇とアズハルのアハメド・タイエブ総長による「人類の友愛に関する文書」の共同署名を可能とするため、準備を進めたことなどは司教の大きな成果といわれる。

立正佼成会とも親交が深い。アユソ司教は、庭野光祥次代会長と共に「アブドッラー国王宗教・文化間対話のための国際センター」(KAICIID)の理事を務める。2016年5月15日には本会を訪れ、大聖堂での式典でスピーチを行った。今回の議長就任に際し、庭野日鑛会長、光祥次代会長がそれぞれ祝電を送った。

議長就任前の5月21日、アユソ司教は、バチカン諸宗教対話評議会と世界教会協議会(WCC)がスイス・ジュネーブで共催した、『共に平和を促進――対話を通じた人類の友愛と調和の取れた共存の促進』と題する国際会議に参加し、二つの「平和構築のための歴史的ドキュメント」(WCCコミュニケ)を世界に向けて発表した。一つは、教皇とタイエブ総長が共に署名した「人類の友愛に関する文書」、もう一つは、人類の友愛を実現していくために、バチカン諸宗教対話評議会とWCCが共同作成した「宗教的多様性世界における平和教育――キリスト教の視点」だ。アユソ司教は任命を受けた翌26日、バチカンの公式ウェブサイトである「バチカンニュース」のインタビューに応じ、「友愛のみが世界を変革できる」と発言した。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)