釈尊の遺徳偲び「涅槃会」

続いて、八戸教会長が体験説法。幼い頃の病気の後遺症で両親を恨んでいたが、青年期に「三法印」の教えを学んだことで、息子の病気平癒と幸せを願う両親に感謝の念が湧いたと述懐した。また、宇和島教会長在任中に、自らの求道心を見つめ直し、心の救いに徹した法座の運営につとめたことで、手どり先で信仰の喜びが伝わり、導き数が増加した体験を披歴。現在の教会でも、庭野会長の指導通りに全ての仏性を礼拝(らいはい)する尊さを日々、かみしめながら、有り難くて楽しい信仰を皆が実感できるよう修行を展開していると報告し、今後のさらなる精進を誓った。

法話に立つ庭野会長

この後、法話に立った庭野会長は、涅槃会に際し、「生まれたものは必ず死んでいく。この思い通りにならない事実をはっきりと受け入れていくことがとても大事」と強調。亡き愛息のよみがえりを懇願する母親に、今まで死者を出していない家から、植物の種を分けてもらうよう指示した釈尊の逸話を紹介。そのような家など一軒もないと悟った母親が「子供の死」という現実を受け入れたことで心の落ち着きを取り戻したと説明した。このことから、私たちの身の回りに起こるさまざまな出来事に対し、仏道修行を通じて現実をしっかりと受け入れていくことの重要性を説いた。

また、釈尊がいかなる時も人の善意や行為を無にしない温かな心と、並々ならぬ深い慈悲心を持って相対していたことに言及。相手の幸せを心から願い、思いやりの気持ちを発揮するために、「人さまに善意と好意を持って菩薩行をさせて頂くことが、私たち信仰者として、とても大切だと思います」と述べた。