WCRP/RfP日本委「気候変動学習会」 仏教思想から、環境と個人の関係性学ぶ

『環境問題と仏教思想』テーマに竹村東洋大学学長が講演

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の気候変動タスクフォースによる「気候変動学習会」が2月12日、立正佼成会大聖ホール(東京・杉並区)で行われた。テーマは『環境問題と仏教思想』。加盟教団の信徒ら100人が参加した。

2014年に韓国・仁川(インチョン)で行われた第8回ACRP(アジア宗教者平和会議)大会で、地球温暖化対策として環境プログラムに取り組むことが提唱され、同タスクフォースは一昨年から埼玉・所沢市で植林活動を実施している。今回の学習会は、環境問題を仏教の観点で捉え、その取り組みの宗教的意義を深めることを目的に行われた。

当日は、同タスクフォース責任者の薗田稔秩父神社宮司のあいさつに続き、竹村牧男東洋大学学長が講演した。

竹村氏は冒頭、近年、世界各地で異常気象が発生し、切実な問題を引き起こしていると指摘。一人ひとりが3R(リデュース、リユース、リサイクル)を心がけ、ライフスタイルを転換して、環境への負荷を低減することが重要と訴えた。

その上で、仏教思想における環境の捉え方として、この世の物事は全て、それを認識する心の現れによって成り立っているとする大乗仏教の思想「唯識」を紹介した。唯識とは、眼識(色)・耳識(声)・鼻識(香)・舌識(味)・身識(触)・意識(法)・末那識(まなしき。自我)・阿頼耶識(あらやしき。五根=身体、器世界=環境、種子=業)の8種類の認識作用と説明。このうち、宇宙万有の根源で、心の主体とされる「阿頼耶識」に身体と環境、業が含まれ、相互に関係・作用し合って固体としての自己を形成しているため、「環境も自分自身の姿に他ならない」と説いた。

さらに、唯識では、ただ一つの自然界に人々が存在しているのではなく、人間を含む全ての存在はそれぞれの阿頼耶識から生じる世界を生きているため、自然界は一人ひとりが有する阿頼耶識が折り重なって存在している世界の現れと示唆。加えて、大乗仏教では、一人ひとりの修行精進によってこの世は浄化され、仏国土となると説いていることから、仏教思想に触れ、仏道を歩むことで、「自然を傷つける行為を慎み、環境世界そのものを仏として拝んで大切にしていくという根本姿勢が築かれる」と語った。