アブダビで「人類友愛のための国際会議」 光祥次代会長がスピーチ

「人類友愛の理念」のセッションでは6人の女性が登壇した

ローマ教皇はじめ諸宗教指導者ら700人が参集

2月3、4の両日、アラブ首長国連邦(UAE)・アブダビで「人類友愛のための国際会議」(ムスリム長老評議会主催)が開催され、諸宗教代表者、政治指導者、識者、メディア関係者など約700人が参加、立正佼成会から庭野光祥次代会長が出席し、全体セッションでスピーチした。同会議には、イスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長とローマ教皇フランシスコが出席。ローマ教皇の史上初めてのアラビア半島訪問に、全世界の注目が集まった。

UAEでは、諸文明、諸宗教間との平和的共存を目指し、イスラーム主導による国際的な諸宗教対話が推進されている。光祥次代会長は、同国政府機関などからの招聘(しょうへい)を受けて、昨年5月に「国際ムスリム共同体会議」、同12月には「第5回ムスリム社会における平和推進フォーラム」に出席し、スピーチを行った。

同国の指導者たちは、2019年を「寛容年」と決定。特に、過激で極端なイデオロギーによる被害で苦しむ中東地域で、識者やメディアに働き掛けて、「寛容」の価値観を再確認する運動を生み出す道を探る意向が示されている。

今回の会議では、『人類友愛』をテーマに設定。『人類友愛の理念』をテーマにしたセッションでは、「シチズンシップ」(市民権)という概念の強化、過激主義との闘い、抑圧・迫害されている人の権利について、『人類友愛の実現に向けた共通の責務』では、友愛を醸成するためのメディアや各種機関、青年の役割について、『人類の友愛――課題と機会』では、紛争や戦争の原因となる良心の欠如、宗教的道徳の排斥、個人主義・物質主義の横行、狂信主義などについて討議された。

3日、アブダビ市内のホテルで行われた開会式では、UAEのシェイク・ナヒヤーン・ビン・M・アール・ナヒヤーン国務大臣(寛容担当)がスピーチ。「私たち一人ひとりが、人類の多様性の象徴」であり、「私たちの違い、その多様な経験と知恵が、現代の地球的課題に対処する上で、実りをもたらす」と述べ、違いを認める寛容性に基づいた人類友愛の精神により、過激主義、テロリスト、貧困、女性の権利の侵害、環境破壊、偏見と憎悪、抑圧などさまざまな問題に歯止めをかけていくことができると見識を示した。

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