ヤジディ教首長が逝去 光祥次代会長が哀悼のメッセージ送る

昨年7月、逝去した首長の孫のブリーン・タフシーン師が来会

イラクの少数派ヤジディ教徒を長年率いた指導者のサイード・アリ・タフシーン首長が1月28日、移住先のドイツで逝去した。85歳だった。立正佼成会の庭野光祥次代会長は、首長の孫でヤジディ教最高評議会会長のブリーン・タフシーン師に宛て「お悔やみのメッセージ」を送った。

ヤジディ教とは、イラク北部からトルコ東部の山岳地帯に居住するクルド人によって信仰されている宗教。信徒は約60~100万人で、少数派になる。近年、「イスラーム国」(IS)を名乗る過激派組織が「悪を崇拝している」とヤジディ教を非難し、その住民を虐殺。女性や子供を連れ去った。これまで苦難を強いられてきたクルド人の中でも、特に激しい迫害や暴力にさらされている。

光祥次代会長は、2016年11月にローマの教皇庁立グレゴリアン大学で開催された「いつくしみの特別聖年」に合わせた国際シンポジウムに出席し、ブリーン・タフシーン師の講演を聴き、その苦難の歴史を知った。席上、パネリストの一人として登壇した光祥次代会長は「ヤジディの皆さまを全力で支援します」と連帯の意思を表明し、ここから本会とヤジディ教との交流が始まった。タフシーン師を本会に招いたほか、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会にも、ヤジディ教徒への理解の促進を働き掛けてきた。

1933年にイラク北西部で生を享(う)けた同首長は、前任者である父親の死後、11歳の時にヤジディ教徒の首長に任命された。その後、海外では最大のヤジディ教徒コミュニティーがあるドイツに渡った。苦境にあるヤジディ教徒の指導者として平和を訴え、多くの尊敬を集めてきた。

「お悔やみのメッセージ」の中で光祥次代会長は、同首長がヤジディ教徒のみならず、イラク、そして世界の人々の幸福に尽力したことに触れ、「広い心と深い叡智(えいち)を持ち合わせた師の優れたリーダーシップは世界にとって貴重な宝でした」との思いをつづった。その上で、「ご功績とご貢献は、私たちの心にずっと残っていくことと信じています」としたため、深い哀悼の意を表している。