中央学術研究所 アジア哲学叢書第3巻発刊

中央学術研究所はこのほど、『Philosophica Asiatica(アジア哲学叢書)』の第3巻として、『Vimalakīrti-nirdeśa(ヴィマラキールティ・ニルデーシャ)梵文維摩経―正順・逆順語彙索引―』を発刊した。

アジア哲学叢書は初期仏教や大乗仏教をはじめとするアジア圏の諸思想研究に資することを目的としたシリーズ。一昨年に創刊号として発刊したミャンマー南部タトン市の僧院所蔵の南方仏教経典写本目録、昨年発刊した仏伝詩文学『ジナーランカーラ』の詩脚・語彙索引に続くものになる。

今回の編纂には、仙台高等専門学校の笠松直准教授、東北大学大学院の尾園絢一専門研究員、中央学術研究所の西康友主査、トロント大学博士課程のアンソニー・スコット氏、仙台高等専門学校の逢坂雄美名誉教授が携わった。

『Vimalakīrti-nirdeśa』は、維摩経のサンスクリット原典。散逸したと考えられていたが、大正大学綜合仏教研究所が1999年に中国チベット自治区で写本を発見し、ローマ字(アルファベット)転写・校訂した『梵文維摩経―ポタラ宮所蔵写本に基づく校訂―』(大正大学出版会)を出版した。5人の編纂者は同書を基に、一つ一つの単語を精査し、誤植を訂正して索引を作成。維摩経をはじめ仏教研究の発展に向けて広範な活用が期待される。