モザンビークの「武器をアートに」展 聖心女子大で始まる

この中で、モライス大使が、「モザンビークの人々の強い志が、平和を象徴するアート作品になった」と紹介。一方、紛争から24年が経過した現在も「ポスト紛争国」である現状で、「最も大きな課題は社会を安定化させ、平和を常に維持していくこと」と語った。

記者会見で発言するモライス大使(中央)

プロジェクトリーダーの石井洋子同大准教授は、半年ごとにテーマを変えながら、難民と避難民に関する展示を実施してきたと話し、最終回である今回は、アジアやアフリカに焦点を当てたと説明。「命を守るための武器を、生活のための道具に変えるという勇気ある行動によって、武器は“平和の象徴”へと姿を変えました。(作品に込められた)平和のために一歩踏み出す大切さ――その強いメッセージを受け取って頂きたい」と語った。

国立民族博物館所蔵の「肘掛け椅子」を貸し出した吉田館長は、同国で回収された武器はどれも周辺国や先進国から流入したものと強調。「日本製は含まれていないが、日本も(紛争に)無関係だったわけではない」として、経済的な関係など、展示を通してモザンビークの内戦に日本人がどのように関わっていたかを振り返り、平和のために何ができるか考える機会にしてほしいと期待を寄せた。

これに先立ち、同大学マリアンホールでは、えひめグローバルネットワークの竹内よし子代表理事による講演が行われた。竹内氏は、長く続いた内戦によって教育を受けられずに読み書きができない人が急増し、社会全体に大きな影響が出ていると、モザンビーク社会の問題点を指摘した。さらに、武器を回収して平和な社会を取り戻す活動に携わる中で、日本とモザンビークの過去と現在、未来を見つめるようになったと述懐し、「武器アートとともに平和の思いを深めてきました。多くの方と思いを共有してきた活動を若い世代に平和のバトンとしてつないでいきたい」と訴えた。

聖心女子大の学生らを前に、竹内氏がモザンビークでの活動を紹介した