「普門館からありがとう~吹奏楽の響きたちへ~」 1万2000人が別れを惜しむ

誰かがリズムを取ると、それを機に大きな輪が広がる。普門館の舞台では連日、即興演奏が行われた

吹奏楽関係者やファンに普門館大ホールの舞台を開放するイベント「普門館からありがとう~吹奏楽の響きたちへ~」が11月5日から11日まで行われた。全日本吹奏楽コンクール(主催・全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社)の会場として長く使用され、「吹奏楽の甲子園」「吹奏楽の聖地」と呼ばれ、親しまれてきた普門館。今回のイベントは、普門館の舞台を目指し、特別な気持ちを寄せてくれた人々へ、立正佼成会から感謝の思いを表したいと企画された。期間中、約1万2000人が来場した。

東京・杉並区にある普門館が、全日本吹奏楽コンクール全国大会の会場として初めて使用されたのは1972年。その後、77年から2011年まで、主に「中学」「高校」それぞれの部で計34回、使用され、吹奏楽に励む学生たちの目指すべき場所となった。

5日から始まったイベントには、愛用の楽器を携えた人が多く詰め掛けた。来場者数は日を追うごとに増え、最終2日間は入場を待つ長い列ができ、やむを得ず30分間の入れ替え制が取られた。

舞台では写真撮影や楽器の音出しなど、来場者は思い思いの時間を過ごした。反響板に直接メッセージを書くこともでき、「普門館が恋しくて、もう一度会いに来ました」「普門館は私にとって青春そのものです」「普門館ありがとう」といった心情が数多く寄せられた。

反響板に思いをつづる来場者

最終日の11日には、約3800人が来場。「オーメンズ・オブ・ラブ」「ディープ・パープル・メドレー」「ディスコ・キッド」など、会場に集った人々による即興演奏が何度も行われた。

中でも、連日、会場に響きわたり、この日も計20回、演奏されたのが「宝島」。T―SQUAREの楽曲で、真島俊夫氏(一昨年に死去)が編曲したものだ。生前、吹奏楽向けの作曲、編曲を数多く手掛けた真島氏の思いを胸に、この日は妻の匡子さんが普門館を訪れ、アゴゴ(金属製の打楽器)で即興演奏に参加した。「笑顔で皆さんが演奏している姿を見て、うれしく思っています。それも、楽譜なしで演奏ができるぐらい覚えてくださっていることにびっくりしました。とても光栄です」と、涙ぐみながら語った。

来場者の多くは、愛用の楽器を持って詰め掛けた

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