平和を目指し、地球規模の諸課題について対話 「第32回世界宗教者平和のための祈りの集い」開催(海外通信・バチカン支局)
聖エジディオ共同体(カトリック在家運動体、本部・ローマ)による「第32回世界宗教者平和のための祈りの集い」が10月14日から16日まで、イタリア北部の都市・ボローニャで開催され、世界各国から宗教者をはじめ政治指導者、研究者など300人以上が参集した。立正佼成会から、中央学術研究所の川本貢市所長が出席した。
1986年、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の呼び掛けで各国の宗教者がイタリア・アッシジに参集し、「世界平和祈願の日」の集いが開かれた。アッシジの精神を引き継ぎ、翌年から聖エジディオ共同体主催の「世界宗教者平和のための祈りの集い」が、ヨーロッパの各都市で行われている。
今年のテーマは、『平和への架け橋――語り合う宗教と文化』。14日午後に行われた開会式では、ローマ教皇フランシスコからのメッセージが読み上げられた。教皇は、「私たちは、戦争の悪魔、テロの狂気、生命を奪う武器が持つ虚偽の力の前で、諦めてはならない。私たちは、無関心が人間を支配し、人間を悪、それも、恐るべき悪である戦争の加担者となっていくことを許してはならない。戦争の代償は、より貧しく、より弱き人々が払わされるからだ」と訴えた。
続いて、同共同体創設者のアンドレア・リカルディ氏、欧州連合(EU)のアントニオ・タヤーニ欧州議会議長が基調講演。この中で、リカルディ氏は、東西冷戦の壁の崩壊後に世界で「グローバル化に対する歓喜」が沸き起こったものの、「世界がグローバル化され、巨大となった経済の前に、対話によって実現されるべき精神性の統一が欠如した」と指摘。グローバル化によって、人々の間にこれまでにない結びつきが生まれたものの、互いを理解し合う人間の精神は「伝統的地平にとどまったままで、グローバル化には精神の冒険が必要であることに諸宗教も気づかなかった」と語り、グローバル化に“魂”が欠けていたとして、対話や協働の必要性を強調した。次いで、あいさつに立ったイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長は、世界各地で頻発する暴力やテロを非難した。