性的少数者への理解を 職員人権啓発講座で性同一性障がいの虎井まさ衛氏が講演 

『性同一性障がいについて』をテーマに、立正佼成会同和推進本部による「第24回職員人権啓発講座」が10月24日、法輪閣大ホール(東京・杉並区)で行われた。今回の講座は、性的少数者に対する理解を深めることが目的。教団、事業体の職員263人が参加した。当日は、幼少期から精神的性別(性自認)と生物学的性別の不一致に苦しみ、大学卒業後、女性から男性への性別適合手術を受けた虎井まさ衛氏が講演した。

虎井氏は冒頭、性的少数者の総称として用いられる「LGBT」について説明。「LGB(L=レズビアン・女性同性愛者、G=ゲイ・男性同性愛者、B=バイセクシャル・両性愛者)」が恋愛・性愛の対象(性指向)によるのに対し、「T(トランスジェンダー・性別越境者)は、自身の性をどう認めるかをテーマとしている」と語った。

自らの経験を語る虎井氏

また、トランスジェンダーの中には、性同一性障がいと診断され、性別適合手術やホルモン投与などの治療を必要とする場合もあれば、自身の性に違和感を持っていても、治療を必要としない人もいると解説。さらに、性自認や性指向が明確でない人、性自認が定まっていない人、性指向がない人など、LGBTの分類に当てはまらない場合もあり、現実の社会には多様な性のあり方があると話した。その上で、人口に占める性的少数者の割合は7.6%(電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2015」)であると示し、「当事者であると言えずに暮らしている人が、すぐ近くにいるかもしれないことをぜひ覚えておいてください」と述べ、多様な性と一人ひとりの尊厳への理解を求めた。
 

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