WCRP/RfP日本委などが開催する連続講座「核の脅威削減に向けて」 清水寺で最終回

連続講座では、ICAN国際運営委員の川崎哲氏が基調講演

核兵器をめぐる情勢を学び、廃絶について考える連続講座「核の脅威削減に向けて」の第4回が9月29日、京都市の音羽山清水寺で行われた。世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会、日本パグウォッシュ会議、明治学院大学国際平和研究所(PRIME)などが共催した。当日は、宗教者や市民約70人が参加。立正佼成会から同日本委理事の中村憲一郎常務理事が出席した。

最終回となる今回は、『新たな潮流と市民社会の役割』がテーマに掲げられ、昨年ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の国際運営委員で、ピースボートの共同代表を務める川崎哲氏が基調講演に立った。

核兵器禁止条約の意義について語る川崎氏

この中で川崎氏は、昨年7月に国連で採択された核兵器禁止条約の概要を紹介。核兵器を全面的に例外なく禁止するとともに、核による被害者への支援や廃絶に向けた道筋についても定めていると説明した。その上で、核保有国が批准しなければ条約に実効性はないとの批判があるが、同条約によって核兵器は「必要悪」から「絶対悪」に転換したと指摘。今後、核兵器製造への投融資は「非人道的な行為に与するもの」との認識が国際社会に広がれば、政治指導者や企業が核開発に関与しにくくなるなど、批准国以外にも影響が及ぶと強調した。

また、核兵器の保有によって相手の核攻撃を抑えるとする「核抑止論」に言及。判断を誤れば、即、人類存亡の危機を招く核兵器に安全保障を託し続けるよりも、核に代わる抑止力を模索すべきであり、複数の国家が協力して地域的な経済圏をつくる経済統合や、文化交流も抑止力となり得るとの見解を示した。

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