奈良県宗教者フォーラム 明治維新前後の社会を学び、現代につながる宗教のあり方を考える
一方、久留島氏は『明治維新の歴史的前提――19世紀を通した「日本文化」の再発見』と題して講演。江戸時代後期の社会状況や日本人の様子を、シーボルトや19世紀の明治維新前後に来日した外国人が残した文献を用いながら解説した。
この中で、江戸時代は戦争がなく、日本人は親和的で社会は平穏であったと説明。さらに、都市だけでなく地方や農村まで、庶民が集団的に文化を受容するようになったとし、その要因として、手習い所が増え、藩校を優れた人に開放することにより「教育社会」が成立した史実を挙げた。識字率が上昇して、書籍の飛躍的増加がもたらされるとともに、民衆の政治批判や自治意識も高まり、「明治維新は、こうした文化を育てた社会の底力によってなされたもの」と話した。
二人の講演後、副実行委員長を務める立正佼成会奈良教会の馬籠孝至教会長が、「講演を通して、人間の根本にあるものを考えさせられ、文化政策という視点で教育の大切さを教えて頂きました。宗教者としての役割を考えていきたい」と閉会のあいさつを述べた。
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