佼成カウンセラー有資格者全国大会 相談者とのかかわり方、寄り添い方を学ぶ

参加者は、発達障害児者を取り巻く現状と社会の課題について理解を深めた

翌2日は、『発達障害臨床――むすびめをみつけるために』と題し、北海道大学名誉教授で「こころとそだちのクリニック むすびめ」院長の田中康雄氏が講演した。

障害の特性と上手に付き合うことが大切と語る田中氏

田中氏は、発達障害が広く社会に認知されつつある中で、大人や子供の診察が増加していると説明した。発達障害における早期の医学的な判断は重要であるとしながらも、人の成長には個人差があり、障害の特性も変化していくため、障害を治すことばかりを意識するのではなく、「どのように工夫すれば障害の特性と上手に付き合って生きていけるかを考えていくことが大切」と強調。乳幼児期から成年期までのライフステージごとに当事者やその家族が直面する課題や心情について詳述し、発達障害への理解を促した。

また、発達障害のある人の多くが、「症状そのもの以上に、その特性を持って社会で生きていくことに悩み、困っている」とし、「『発達障害』は、理解者がいれば障害ではなくなる」と言明。小学校では児童の視力に配慮して席次が決められることを例に挙げながら、社会を構成する一人ひとりが障害について理解するとともに、当事者の特性に配慮し、思いやりを持って接することで、生活上の困難を克服することができると語った。

なお、大会期間中、会場には、佼成カウンセラーが地域で取り組んでいる傾聴ボランティアや電話相談といった活動を紹介する「パネル発表」が行われ、参加者同士が情報を共有するなどして交流した。

パネル発表も行われ、参加者は各地域での活動について情報を共有

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