『統治と腐敗』をテーマに「行動の倫理」会議 光祥次代会長がスピーチ

世界から宗教者、経営者、経済学者など40人がアルブバッハのホテルに集い、議論を重ねた

8月20、21の両日、オーストリア・アルプバッハにあるベーグラーホーフホテル内の会議場で、第9回「持続可能で不可欠な開発に向けた行動の倫理」会議(通称=「行動の倫理」会議)が開催された。ローマ教皇庁科学アカデミー会長のマルチェロ・サンチェス・ソロンド司教をはじめとする諸宗教指導者や、国連事務総長特別顧問のジェフリー・サックス博士ら学者、企業経営者、政治家、NGO代表など約40人が参加した。

会議は、ローマ教皇庁科学アカデミー、同社会科学アカデミー、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会に加え、欧州フォーラム・アルプバッハ(EFA)の共催によるもの。立正佼成会から、WCRP/RfP国際共同議長を務める庭野光祥次代会長が出席し、今回のテーマである『統治と腐敗』について、仏教の視点からスピーチした。

「行動の倫理」会議は、ローマ教皇フランシスコによる回勅「ラウダート・シ」に示された、「我々の共通の住まいである地球について、全ての人々と対話を持ちたい」との願いを受け、持続可能な開発に向けた倫理的行動を促進するためのもの。「気候変動」「貧困」「移民と難民」「暴力」「教育」など世界が直面する10の課題について、各分野の専門家を交えて議論し、声明文を発表する。同会議の運営面で、WCRP/RfP国際委が全面的に協力している。

21日には、『腐敗――倫理的・宗教的視点』の会合が開かれた。席上、WCRP/RfP国際共同議長のジョン・オナイエケン枢機卿(ナイジェリア・アブジャ教区大司教)やラビ・デビッド・ローゼン米国ユダヤ人協会諸宗教対話部長、同国際共同会長のムハンマド・アル・サマック博士(ムスリム・キリスト教徒間対話評議会事務総長)、光祥次代会長らがスピーチを行った。

五つの会合が持たれ、各参加者がスピーチを行った

この中で、光祥次代会長は、『政治腐敗に対する仏教の視点』と題して発表した。冒頭、本会の所依の経典である『法華三部経』にある「三車火宅の譬(たと)え」を引用し、家が燃えているのに気づかず、屋内で遊んでいる子供を「人類」に見立て、富が偏在する現在の世界を説明。「物欲」という名の炎に包まれた「屋敷」の中で享楽に浮かれ、地球規模の環境汚染や経済危機に目もくれないでいる「子供とは私たち人間である」と指摘した。

その上で、自らの利益の拡大のみを追求する志向が、政治と結び付く中で、汚職などの腐敗を引き起こしていると示唆。政治倫理の確立を訴えてきた本会の政治への取り組みを紹介し、「私たちが自らの心を見つめ、互いに生かされていると深く心に刻めば、それが人々の幸せを第一義に行動する倫理的な政治家を生み、政治の腐敗を一掃する第一歩となる」と語った。

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